Vol.39 Printing Share on Facebook Share on Twitter

「顧客体験コレクション」対談 第3回
人生にずっと寄り添う結婚式場。

東京第2ブランドアクティベーション本部 中間 陽介
東京第2ブランドアクティベーション本部 斎藤 俊
大阪ブランドアクティベーション本部 岸本 尚実
Le Clos de Mariage ウェディングプランナー・MC 村川 裕一氏

顧客体験コレクションは「顧客価値」を掲げ、実行する大広社員が、顧客として価値を感じた「顧客体験」を投稿し、共有する社内SNS。ひとり一人の感動や発見をカテゴリごとに蓄積し、顧客価値を体内化するためのツールとして、日々アップデートされている。(詳しくは、ダイGOoooo!Vol.37を参照) 今回お話をお伺いするのはLe Clos de Mariage(ル・クロ・ド・マリアージュ 以下ル・クロ)のウェディングプランナー 村川裕一氏。2015年の自身の挙式以降、村川氏やル・クロと継続的に繋がっていて、感動体験を投稿した岸本尚実氏、感動体験コレクションの起案者である中間陽介氏と斎藤俊氏が村川氏にル・クロ流のお客様との絆づくり、大切にしていることなどを聞いてみた。
ル・クロ公式サイト https://le-clos.jp

— 岸本さんの投稿は、妊娠中に食事に行った際の感動体験でしたよね。

岸本:ル・クロはフレンチレストランなのですが、私はそこで結婚式を挙げました。それ以降、クリスマスや誕生日、記念日などで利用させてもらっています。ル・クロは「結婚式後にもつながりを持ち続けることのできる式場」がコンセプト。担当ウェディングプランナーだった村川さんからはいつも年賀状をいただいてますし、来店のたびに手厚い接客をしてもらっています。行くたびにうれしい気持ちになるのですが、特に感動した日があったので、そのことを顧客体験コレクションに投稿しました。

ある年、岸本さんがクリスマスのお祝いでル・クロを訪れたときの写真。
スタッフの皆様が華やかにお見送りしてくださります。 ※一番右端が村川さん

中間:僕はその投稿にコメントを付けたけど、ル・クロでは結婚式=関係性の始まりという考えが一貫してるんだよね。良い意味でマニュアル化されていなくて、顧客がよろこぶことを第一に考えて実践されている。すごいなと思う。

岸本:お店に行った日はあいにく雨だったんですが、お店の前で村川さんが傘をさして待っていてくださったんです。食事も心遣いにあふれていて、娘のお子様プレートに「来てくれてありがとう♡」とメッセージが書いてあったり、2人目妊娠中だということは席についてから初めてお伝えしたんですけど、急きょ安産祈願のスイーツを用意してくださったり。もうそれだけでも感激なのに、帰り際に近くの神社の安産のお守りを手渡してくださったんですよ!雨の中、わざわざ買いに走ってくださったみたいで。ますますファンになりました。

— 心に残る素晴らしい接客を、臨機応変に。
みなさんすべて自分の裁量で対応されているのですか?

村川:私自身はブライダルのトップなので特に制限もなく、思ったことをすぐやっています。スタッフについても彼らの自主性は尊重していますが、彼らに100%フリーで裁量を与えているわけではないので、思い付いたことがあれば私や現場の上の者に一応報告してもらうようにしています。お客様が来られてその場で瞬時に考えるのは、なかなか難しいことですから、常日頃から「こんなお客様が来たらこうしよう、こんなことがしたい」とずっと考えておくことがポイントかなと思います。

スタッフそれぞれが「どうしたらお客様がよろこんでくださるか」を考えて動ける。意見を出し合い、アウトプットできる。そんな環境を整えておけるようにしています。お客様と継続的にずっとつながっていける関係づくりを目標に掲げていますが、一方「もしかすると今回のお食事がラストになるかもしれない」という心構えでお客様と向き合っていかなければと思っています。

岸本:村川さんは私たちが個室に入っていても、必ず顔を出して、しっかりコミュニケーションをとってくださるんです。お互いの近況を伝えあったり、村川さんとおしゃべりしていると本当に楽しくて。子どもはすっかり村川さんになついちゃってます(笑)

— 小さいお子さんも一緒に楽しく。フレンチのハードルが下がりますね。

村川:子ども連れでフレンチってなかなかハードルが高いですよね。うちのオーナーの黒岩功の実体験なんですが、せっかくの記念日だからと子ども連れでフレンチレストランに行ったはいいけど、子どもを抱っこしながらナイフとフォークで食事をするのは大変で。お箸くださいと言っても無いと断られる。そのうち子どもは泣き出す、周囲は白い目。もう、こうなるとね。

中間:わかります。うちも子どもが2歳の時にフレンチに連れて行きましたが、カオスになりましたもんね。たまには豪華な食事をなんて思ったけど、子どもの食器も大人用だし、お子様サイズにカットもされてなくて。そのうち子どもがギャーギャー騒ぎ出したり。

岸本:それじゃ親も食べてる気しないですよね。レストランは子ども連れで行けるかどうかが気になりますが、ル・クロはホスピタリティが高く、スタッフのみなさんが子どもの面倒もみてくださるので安心です。前に、娘が私のスマホにある結婚式の写真をみつけて「これなに?」って聞かれたことがあったんですね。「これは結婚したときの写真やで」って話をして、その時に「あ、今度その場所につれてってあげるよ。一緒にごはん食べよ」って言うことができたんです。その子のルーツともいえる場所、ル・クロに一緒に行けるって、すごい大きな体験だなあと。

岸本さんご家族がル・クロを訪れたときの様子。
お子様がファーストバイトの体験をできるような素敵なイベントも用意されています。

村川:ありがとうございます。フレンチを様々な世代の方に、もっとなじみのあるものにとの思いから黒岩は自分の店をオープンさせたんです。岸本さんのところもそうですが、お子さんと一緒に来ていただくことで、お子さんもうちのレストランのファンになっていただける。親御さんはお子さんの行きたいところに連れて行ってあげたいものですから、小さなうちからファンになっていただくことはてとても重要なことだと思っています。

— 結婚式後も式場とつながっている。それ自体が特別なことですよね。

中間:僕の場合は、挙式した式場の前を通りかかっても「懐かしいな」で終わり。当然ですがその後になにかアナウンスがあるわけでもないですし、一過性の付き合いです。

村川:ブライダルは基本、リピーターが存在しづらいジャンルですよね。ル・クログループはレストラン、ブライダル、5年ほど前からは福祉事業も始めていますが、母体はレストランですので、お客様にリピーターになっていただかないといけない。節目節目でレストランを利用していただくには何をすべきか、常連さんになっていただくことを第一にやっているところです。

レストランのお客様が結婚される時期になった時に、式もこちらで挙げていただき、その後、結婚記念日、お子さんが産まれたらお食い初め、お誕生日と節目節目でご利用いただける。それが理想ですね。昨年夏からは結婚する方を自ら生み出して行こうと、結婚相談所も始めました。その方の人生に寄り添うというのでしょうか、人生の一部としてル・クログループを利用していただける。そんな考え方のもと取り組みを進めています。

— お客様によろこんでいただけた事例などは
どのようにスタッフ間で共有されているのですか?

村川:レストランでは夜に必ず終礼をやっていますので、まず店の終礼で情報共有します。もちろん、他の店舗にも情報をシェアします。お客様から届いた声なども同様に。終礼のようなリアルの定期ミーティングとFacebookのメッセンジャーグループでライブに発信・共有できる場を店舗ごとにつくっているので、そこでやりとりする感じです。
あとは、大広さんの顧客体験コレクション、お話を聞いてすごくいいなと思って、実はちょっと真似してページだけつくってみました。

中間:本当ですか。うわー、すごいな。顧客体験コレクションは大広社員の感動体験をシェアして、仕事に活用するために生み出した社内SNSなんですが、ル・クロさんでも取り入れていただけるなんて。光栄すぎます!

村川:うちの場合はいいことだけでなく、逆の場合もあるので、そこもしっかり共有するスタイルになっています。A店がやっていることをB店でも取り入れるということはもちろんできますし、みんなそれぞれ考えを持っているので一人で考えるのではなく、自分がやったことをきちんと共有することを意識づけしています。

— ル・クロには〈ブライダル同窓会〉という、お店独自のイベントがあるそうですね。

岸本:普通の結婚式場やホテルでは挙式が終われば関係がなくなったり、妊娠・出産など何かのタイミングで関係が途切れますよね。同窓会はル・クロで挙式した方が集まるイベントで、私も何度か参加しました。食事しながらゲームしたり、スタッフや参加者の方とおしゃべりできて楽しいんです。開催はFacebookで告知されたり、SNSで担当プランナーとやりとりする中で知って申し込む感じです。

村川:私がル・クロに参加したのは2008年で、それ以前もプランナーをやっていたのですが、その時から「結婚式がゴールではない。挙式後もお付き合いしていきたい」という思いがあったんですね。そこでブライダル同窓会を発案したんですが、開催前は「それをやったからってどうなの?」という意見もありましたが、やってみたらすごく楽しかった。新郎・新婦さんからも好評なのですが、スタッフたちの反応もすごくいいんです。

岸本さんご家族(写真前列右側)が参加したブライダル同窓会の様子
※後列左から2番目が村川さん

岸本:プランナーの方と会えるのもうれしいんですが、普段はキッチンにいる調理スタッフの方なども全員出てきてくださって、おしゃべりできるんです。自分の式の時にお料理を作ってくださった方のキャラクターがわかって、それがおもしろかったです。

斎藤:とても印象的なエピソードなんですが「これって僕の仕事?」「接客まで?」みたいな反応が出たことはなかったですか。それとも最初からみなさん、お客様との会話を楽しんでたんでしょうか。

村川:つまりは「なんでそこまでしなきゃいけないの?」って気持ち?

斎藤:はい。もし抵抗がある人がいたんだったら、なにかがきっかけになって、その人の中で変化があったんじゃないかなと思いまして。最初からみなさんノリノリでやっていたかもしれないですが。

村川:もしかしたら中には「これも自分の仕事?」と疑問を持っているスタッフもいるのかもしれません。でも、うちの場合はそう思わない人たちの方が圧倒的に多いです。ル・クロでは営業中は調理スタッフも含めて、全員がサービスパーソンだという前提で動いています。入社時にその話もしていて、それを了承の上でやってもらっているという感じです。それでも、どこかで違和感を抱きながらの人がいるとしたら、成功体験が突破の鍵になると思っています。

斎藤:成功体験。

村川:お客様から直接「ありがとう」っていっていただいたときのうれしさ、心地よさは特別なものです。そんなよろこびの積み重ね、成功体験を感じてもらうことで心からお客様との交流を楽しめるように変われると思っています。上長が考えて、そのような体感・体験ができる店にしていくことを大切にしています。

— 〈同窓会〉という響きもいいですよね。

村川:同窓会ですから、スタッフとだけでなく、新郎・新婦さん同士の会話も弾むよう、世代の近い方、お子様連れの方など属性の近い方、プランナーが判断して波長が合いそうな方同士を同じテーブルにするなどの工夫をしています。地方から大阪に来られた方だと同窓会でお友達ができればいいなと。たくさんある会場の中でル・クロを選んだ方たちですから価値観も似ておられ、仲良くなっていただけるかなという期待もあります。同窓会で子育ての悩みを話したり、もしかしたらビジネス的なつながりができるかもしれないですよね。
横のつながりも広げて行きたいなと思っています。

中間:お招きいただくだけでもありがたいのに、あえて同窓会形式にされている理由をお伺いたかったのですが、そこにポイントがあったんですね。

— 最後に村川さんにとって、最も心に残っている仕事を教えてくさい。

村川:一番と言うのはなかなか決められませんが、自分の人生で初めてウェディングプランナーとして担当させていたいただいた時のことは忘れられません。私も初めて、お相手も初めて。よくぞ僕に任せてくださったなと。光栄で、ありがたくて。披露宴が済んだら泣いてしまいました。ゲストからは「あの人、友達?」とか親御様からは「なんで泣いてんの?」と言われましたけど。

もうひとつありまして、2年前の秋に担当した新郎・新婦さんのことです。旦那さんはお仕事が多忙で、基本的には奥さんと打ち合わせしていたのですが、僕とほぼ同世代の気さくでとても元気な女性で。挙式後もSNSでもつながっていたので近況などはみていたのですが、昨年奥さんががんになったと書き込みがあったんです。入院された時にお見舞いにお伺いしようかとも思ったのですが、すごく気を遣われる方なので僕なんかが行ったら、身体がキツい中でも無理をされるのではと思い、結局お見舞いは行かずにいたんです。そしたら、その後、旦那さんから奥さんが亡くなったという連絡をいただいて・・・。なにかできないかと思った時に、お別れ会をしたいなと思ったんです。

— 挙式したレストランで、お別れの会を。

村川:はい。でも、こちらの方から旦那さんにお別れ会のこと切り出すのは失礼かと思って口に出さなかったんです。旦那さんから訃報のご連絡をいただいた夜から、ずっと考え続けていましたが「やっぱりお別れ会をしたいな」と。訃報から4日目に旦那さんがいつかお別れ会をやりたいというご自身の想いをSNSに書き込まれているのをみました。

翌日出勤したら旦那さんからメッセンジャーで「こんなこというのは申し訳ないんだけど、そちらでお別れ会をさせてほしい」と連絡が来たんです。もう、すぐにオッケーですとお返事しました。

岸本:お別れの場として選んでもらえることもそうだし、そういう相談ができることがすごく大きいなと思います。普通の結婚式場だったら、相談せず終わりますよね。まず話してみようと顧客側が思えるってこと自体が懐の深さを感じます。

村川:旦那さんは「ル・クロは結婚式をするお祝いの場所だから、お別れ会をやるのは失礼かと思ったんですが、勇気を出していいます。やりたいんですけどいけますか。無理だったら断ってください」って。そんなのオッケーに決まってるじゃないですか。お別れ会は昨年に開催させていただき、僕にとって心に強く残る仕事になりました。

— その人の人生に寄り添う。それを体現するようなお話ですね。

村川:レストランですがお料理だけでなく、なにかしら困ったことがあればお声をかけていただける関係づくりを大事にしてきましたが、お別れ会のことは自分にとって大きなインパクトが残りました。自分が担当したお客様が亡くなるなんて、正直全く頭になかったんです。挙式されて一年も経たないくらいで天国に旅立たれました。

中間:冒頭で普段からのお客様への応対として「今日がラストの来店かもしれないと思って」というお話もありましたが、それって究極のワードかなと感じたのですが、どこかそこにもつながるようなエピソードですね。今日はすごく大切なことを教えていただきました。ありがとうございます。

END

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