Vol.11 2019.05.13

アアルト大学 × 大広で、
世界に次のイノベーションを。

フィンランドのヘルシンキにある、アアルト大学。2010年にアート、ビジネス、テクノロジーの3つの大学が統合されて一つになり、イノベーション創出の新たな拠点として出発。学生が運営する世界最大級のスタートアップイベント「Slush」など、数々の実績を生み出している。昨年、大広はアアルト大学とつながった。そして今年3月、AI に関するトークセッションを同大学で開催。その様子や今後の大広とアアルト大学の構想について、話を聞いた。

加藤剛・原田信宏
左から、東京統合プロデュース局 加藤剛 / 東京第1プロデュース局 原田信宏

—最初はどんな経緯で、アアルト大学とつながりを持つようになったんですか?

原田:もともとは、2018年度から大広に新しくできた「ビジネスインキュベーション局」という部署のメンバーが、昨年の8月にヨーロッパに行ったことがきっかけでした。そのときは、サイバスロンという大会について、主催団体の方とスイスのチューリッヒ大学でお話する目的があったようです。サイバスロンは義肢のパラリンピックというような感じで、ロボット工学の最先端技術を応用した義手・義足を使ったスポーツの祭典ですね。そことのつながり作りと、あとチームラボさんがヘルシンキで出展されるというので、打ち合わせを兼ねてヨーロッパ視察に行くことになりまして、せっかくなのでその機会を利用してヨーロッパのスタートアップとのつながりも作ってこようという話になったようでした。それで、ルクセンブルクとフィンランドがスタートアップ支援に力を入れているということで、それぞれのJETROのようなところにアポイントを取り、会うことに。そのときに、フィンランドのアアルト大学とパイプがある日本人の方と、つながりを持つことができたようです。

—その時点で、今回のようなトークセッションをしようというお話があったのでしょうか?

原田:いえ、そのときはまだそこまでの話にはなっていません。そのメンバーから「アアルト大学とつながりができた」と聞いて、僕らがやっているAIのプロジェクトと一緒に何かできないか?と考えました。もともとアアルト大学は、AIに関わるライジングスターとして認知されているのは知っていたので。それで、お声掛けさせて頂いたのが最初の経緯です。

—オファーを受けて、アアルト大学側はどのような反応でしたか?

原田:実は基本的には向こうでは日本企業のイメージはあまり良くないらしく、話を聞きに来ても何も進まないということがすごい多いらしいんですね。ただ今回に関しては、たまたまアアルト大学の来年度の注力領域が、「AIをクリエイティブと呼ばれる領域にどうやって適応していくか」だったので、「日本の広告代理店と何かできる」ということで前向きに調整頂き、こういう形になりました。

原田信宏

—当日、会場にはアアルト大学の学生が60人ぐらい集まったと聞きました。

原田:そうですね。申し込みが60人ぐらいで、結果的に会場にもそれぐらいいらっしゃいました。

加藤:トークセッションのテーマとしてはAIで、いかにクリエイティブ業界に機械学習を提供していくかというものでした。僕らとしては、僕らが大広のプロジェクトでやってきたことと、日本の他の広告代理店が展開しているサービスの事例を交えてご紹介させて頂きました。アアルト側からは、実際の研究最前線でどういったことをしているかという情報を頂く形のトークセッションでしたね。

原田:すごい前段からお話をすると、僕らは2017年度と2018年度に、パートナーさんと一緒にAIで広告クリエイターを支援するツールを作るプロジェクトをやってきたんですね。2017年度はモックという形ではあるんですけども、ある程度の方向性を見いだせるツールを作りました。昨年度はAIという文脈からは外れますが、クリエイターが「こんなツール、あったらいいよね」というものを作ることができました。僕らとしてはそのクリエイター支援ツールを、今後AIを使ったツールを作るためのステップゼロみたいな形として紹介したいと思い、そのあたりを当日は加藤に話してもらいました。

—これは、社内の働き方改革から派生したプロジェクトで作られたツールと聞いています。

加藤:立ち上がりはそうですね。オリエンを受けたあと、クリエイターはさまざまな情報収集をするのですが、時間は一人24時間までしかないので限界がある。アイデアを考える時間も確保しなければならない。なので、情報収集をシステムでカバーできたら、もうちょっと全体にスピードアップできるんじゃないかという発想ですね、おおもとは。

—アアルト大学側は、どんなお話をされたんですか?

原田:彼らのAIに関する研究成果と活動紹介が主でした。たとえば、彼らは工学デザインの研究もしているので、サイトのUIをレコメンドするシステムとか、機械学習に限らずARとかVRの研究もありました。それ以外にも「アアルト・デザイン・スタジオ」という、エクスペリエンスを深く研究してモノを作る施設の方も紹介してくださって、かなり面白かったですね。

—アアルト大学では、年間で70社〜80社の起業があるとも聞きます。

加藤:アアルト大学が持っているエコシステム(イノベーションを生み出す事業生態系)には、大学と企業と学生という3つのポイントがあります。スタートアップ支援としては、学生がサークルのような形で行うものと、大学が行うものがあるんですね。学生が行うものは、たとえばヨーロッパで最大のスタートアップイベント「Slush」を自分たちでオーガナイズして、世界中に広げていったりしている。あと、フィンランド技術庁が助成してアアルト大学に設置した「スタートアップ・サウナ」というインキュベーション(事業を孵化させる)施設を学生が運営していたりする。そういう意味でスタートアップ育成は、生徒側からも行政側からもかなり力を入れられていると思います。

加藤剛

—大学や街全体が活気づいている印象もありましたか?

加藤:そうですね。アアルト大学のあるエスポー市をサンフランシスコのシリコンバレーのようにするという行政の大きな計画があって、Microsoft本社があるビジネスエリアとアアルト大学がある学術エリアに加えて、観光施設などを順次作っていっている段階のようです。街全体をヨーロッパのイノベーションの拠点にする方針になっているんですね。なので、大学の中にエスポー市役所やヘルシンキ版のJETROであるビジネスフィンランドがあったりするんですけど、そこもかなり活気づいています。距離感も近いですし、日々そういう新しいビジネスの話をしている感じですね。

—大広からはアアルト大学に、どのような提案をされたのでしょうか?

原田:僕らが調査した限りで言うと、日本の企業で海外の大学と一緒にAIを使ったシステム開発をやっているところはないので、アアルト大学と一緒に何を作るかということを、まず検討していきたいと思っています。それはクリエイターを支援するツールなのか、広告のクリエイティブを作るものかわかりませんが、そういった文脈で一緒に物を作っていきたいという話をしました。アアルト大学側も、大広と一緒にやっていきたいという気持ちを持ってくださっているようなので。

—具体的には、すでに協議もされているんですか?

原田:詳しくはちょっとお伝えできないので、それは実施で世の中に出た時にご確認頂ければと思います。

—今回の件を通じて、大広とアアルト大学には太いパイプができたと見受けられます。今後は他にどのような展開を考えられていますか?

加藤:確かに大広としては、アアルト大学との関係性があるのは強いなと思っています。オーストリアのリンツに「アルス・エレクトロニカ」というクリエイティブ機関があるんですけど、そこはアート・テクノロジー・サイエンスの有名な祭典を主催しています。その機関と日本の広告会社が数年前から協同プロジェクトをやっているんですが、そこでは日本の企業と、厳選された研究者や企業家たちとで、一緒にワークショップをやっている。僕らも、そういったやり方で日本の企業のソリューション型の商品開発とかサービス開発に、アート文脈でイノベーションを起こせないかと考えてるんですね。そういう頭を柔らかくしにいくためのコーディネートみたいなことを、アアルト大学と組んでやりたいと思っています。

原田:今回、僕らはAIとクリエイティブというテーマで行きました。でも、お客さんの中でそういうコミュニケーションというか、答えのない課題に直面したときに、僕らがアアルト大学を紹介してプロジェクトの組成をお手伝いできる形になれば、すごくいい関係になると思いますね。彼らに研究を一緒にお手伝いしてもらって、何か新しいものをお客さんと一緒に作っていく関係ができれば、僕らもお客さんもアアルト大学も三者がすごいハッピーになれるのかなと。あと、先ほどと重複しますが、アアルト大学からも色々「こういうことをやろう」と言ってきてくれる関係にはなっているので、アアルト大学と一緒に物を作ることは、やりたいですね。AIを使ったツールに関しては、もともとアアルト大学の方々にもアイデアを頂くというような目的もありましたので。是非、一緒に物を作ることをやれればいいと思ってます。

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