Vol.19 Share on Facebook Share on Twitter

面接ではなく対話を。
採用から、大広はまた進化する。(前編)

今、社員の提言から始まったプロジェクトが、会社全体を変えようとしている。大広は新卒の採用活動を大幅に刷新する。昨年、人事局もまじえつつ現場の社員が中心となった採用プロジェクトチームを発足。そこに東京だけでなく大阪からも社員が参加し、「CAMP」というコンセプトを設定。焚き火を囲むように社員が学生一人ひとりと心から向き合うことをめざす。このように採用を変えることで、大広はどう進化していくのか?東京と大阪の「採用改革プロジェクト」チームのメンバーに詳しい話を聞いた。

東京第2BAP本部第1P局 西岡岳 / 人事局 齊藤穂高 / 東京第1BAP本部第1P局 香月彩那
東京第1BAP本部第1P局 中村将 / 大阪顧客育成局 岡嶋瞳 / 事業開発局 坂本宗隆
人事局 髙山翼

ーまず、今年度から大広が新卒採用を変えることになった経緯を教えてください。

西岡:昨年度の採用活動に僕が参加したとき、大広の採用はこのままじゃいけないと感じました。新卒採用は会社の本当に大事な活動なのに、なんだか片手間になってしまっている印象を受けたんですね。どうしてこうなっているのか?人事にヒアリングをした結果、採用にもっと設計が必要なんじゃないかと。そこで新卒採用を変えるために、成長活動ファンド(社員がやりたいことの場作りと活動の支援をする社内施策)に応募したんですね。その役員へのプレゼンの場で話が進み、ファンドではなく人事局とともに会社の「採用改革プロジェクト」という全社活動として動くことになりました。

坂本:僕は去年のインターンシップを大阪で取り仕切らせてもらったり、その他の活動で大広を受けてくれる学生の方たちと触れ合うことが何度かありました。その中でいろいろ話をしていくと、働くということや初めての仕事を選ぶということを、こちらが思っているよりもすごく深く考えている人がいたりするんです。そういう経験から、僕らと学生が採用する側と採用される側、という上と下っぽくなる関係性が、なんか変だなと思い始めました。それはうちだけじゃなく、世の中にある新卒採用がこの変な形なのが当たり前になってるんじゃないかなと。だから新卒採用をちゃんとお互いが向き合って、僕たちも選ぶんだとは思うけど学生も会社を選ぶ、対等な採用にしたかった。それで、このプロジェクトがあるという話を聞いて、参加させてもらうことにしました。

齊藤:私は人事として、今日のメンバーの中では一番長く採用に関わっています。これまでも社員にお願いして説明会に登壇してもらったり、面接をしてもらっていました。その中で、人事と話すときより、社員と触れ合ったときに学生の志望度がグッと上がっていくのがわかるんです。そういった社員たちに、もっと採用に関わってもらい、学生にも知ってほしいと思っていました。うちの社員はすごい人が多いなと感じていて、たとえば説明会の登壇をお願いすると、「あ、入社3年でこれぐらいにまでなるんだ」とか驚くことも多いので。

西岡:実際、インターンシップに参加してくれた学生からの大広の評価って、結構高いんですね。社員が学生に対して距離を詰めてくれて、すごく面倒を見てくれるとか、社員同士が仲良さそうとか。アンケートにも、「複数社に参加した中でどこよりも満足度が高かった」という意見が普通に出てくる。それなのに新卒採用の活動でその辺のアピールができていなかった。内定者からも「もっと大広をちゃんとPRしてほしい」と言われたりもしていたので、そのあたりのコミュニケーションを社会と取ることができてないんだな、という課題意識もありました。

齊藤:大広の中には、西岡さんや坂本さんもそうですが、エリアに関わらず採用に対しても強い想いを持ってくれている人がいます。それで今回、西岡さん達が「採用を変えなきゃ」と思って成長活動ファンドに起案してくれたことをきっかけに、その相談を僕にも頂いたりする中で、今まで採用の仕事をしていて「こうあればいいのに」と思っていたことが、このプロジェクトでちょっとずつ形になっているかなと感じます。それは僕が思い描いていた以上のことで、皆さんの力があってこそだと思います。

ー具体的には、今回の採用からどんなことが変わるのですか?

西岡:まず、「エントリーシート」という言葉をやめます。それで、ちょっとまだ検討中ではあるんですけど、「ダイアログシート」という名前に変え、一部ではありますが学生と社員が同じ質問に答える部分をつくります。その意図は、面接を対話にしたいからなんですね。だから「面接」という言葉自体も「テーブルダイアログ」と名前を変えます。それは正面に向かい合ってやらずに、一つのテーブルに複数人で対話をするイメージ。相手を知るために一方的に質問をするのではなく、正解のないお題に対してみんなで語り合うことを通じて、学生の素をもっと見たいし、僕らの素も見てほしいと思っています。

ー時間的な手間などもかなり増えそうですね。

西岡:そうですね。これはどうやって全社ごとにできるかがキーになります。今プロジェクトに入ってるのは巻き込む力が強いメンバーなので、実際すでにプロジェクトメンバー以外にも現業が忙しい中、ありがたいことにもう何十人と協力してもらっています。本当に全社員が採用に関わるんだ、みたいなことに育てていけたらいいなと思いますね。

髙山、西岡、齊藤

ーそういう意味では、全社員で新しい仲間を探していくから、インターンシップに「DAIKO WINTER CAMP」という名前をつけたのでしょうか?

髙山:この「CAMP」という言葉は、インターンシップやイベントとか採用活動だけを指すのではなく、大広の働き方というか風土みたいなことがCAMPに近いんじゃないかなという発想から出ています。CAMPって、参加した人たちが上下関係とかにとらわれずに、フラットな立場で心の内をぶっちゃけたり、そういった関係性をつくれる場ですよね。それは、まさに大広社員が大広らしく働いている姿だったり、今後大広がさらにめざしていく姿。なので、CAMPという言葉を大広の働き方の共通認識として社員みんなが持つとともに、そういった場に学生さんもぜひ入ってきてくれませんか?という思いを込めました。その一連のイベントの一つとして、インターンシップも「DAIKO WINTER CAMP」と名付けています。

坂本:これ、大阪の社員がCAMPしている写真なんですけど。

daiko_camp

西岡:大広の仕事って、象徴するとこういうことかな?とみんなでコンセンサスが取れて、CAMPというコンセプトは生まれています。

齊藤:採用って、企業の理念を前提にした求める人材像があって、それは入社後の研修の設計にもつながります。その人材像が、これまでは単発的に見えていたり、研修との連携がちゃんととれていなかったという反省があります。今回、そこの部分を深いところから、かつ今年だけじゃなく中長期的に見据えて考えていこうという動きになった。何カ月もの間ブレストして出た「CAMP」は、そういう地盤があって出てきたすごく大きいコンセプトなんですよね。

ー昨年からBrand Activationを掲げる大広において、採用活動における学生=顧客であるという話も伺います。

坂本:まず大広では、「顧客価値」を大事にするという考えがあり、普段のマーケティング・コミュニケーションの仕事でも、エンドユーザーである生活者を顧客と呼び、顧客にとっての価値を一番に考えようという文化があります。その顧客とは、ターゲットという言葉ではなく伝えたい相手ということだと思っていて、そう考えるとこの採用活動の中では、伝えたい、関係性をつくりたい相手が学生で、つまりは顧客という話ですかね。

岡嶋:今の大広のフィロソフィーが「我々は、企業と顧客と、社会を敬愛する。」となってるんですね。全員を敬愛しなあかんってめっちゃ重いけど、採用で「じゃあ、学生愛せてんのかな?」って考えてみたんです。それで今、採用を変えたいというこのメンバーの思いを、学生を愛するという風に思っていけたらいいと、個人的には納得しています。会社が向いてる方向と採用の方向が一緒っていうのはいいなと。

中村:岡嶋さんがおっしゃったとおり、学生から顧客へと考えて、愛を持ってという話は前提としてあるんですけど、顧客だからこそ学生のニーズと大広のニーズのマッチングが大事、というイメージが僕の中ではあります。その学生がどんな顧客であるか?どんな学生(顧客)が我々のニーズなのか?学生(顧客)にとって大広にはどんな魅力があるのか?何を伝えるべきなのか?すごい深掘りして分析してやらなきゃいけない。学生=顧客を知ることの価値を非常に大事にしていければなと思っています。

西岡:あとは、ブランドアクティベーションは自分たちのブランドの活動をつくることだとすると、大広というブランド自体が元気になるために必要な活動の一つの答えが、採用を変えることなのかなと思っています。「大広の採用活動」の顧客でもあり、「大広というブランド」の顧客でもあるのが学生の方々なんじゃないかと思います。

話し合いの様子

後編に続く

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