Vol.37 Share on Facebook Share on Twitter

「顧客体験コレクション」対談 第1回
ひとり一人の「顧客としての視点」を集め、大広の力に。

顧客体験コレクションは「顧客価値」を掲げ、実行する大広社員が、顧客として価値を感じた「顧客体験」を投稿し、共有する社内SNS。ひとり一人の感動や発見をカテゴリごとに蓄積し、顧客価値を体内化するためのツールとして、日々アップデートされている。
「顧客価値を追求する大広の社員も、プライベートでは、どこかの会社のサービスやプロダクト、そしてブランドの顧客である。」。この視点をベースに起案、発展させた「顧客体験コレクション」は、2021年5月で2年目に突入。クライアント提案の参考にして採用に至ったという声やクライアントとのコミュニケーションに役立ったという声も多数寄せられている。そこで今回は顧客体験コレクションの起案者3人に、起案の経緯やこの仕掛けに込めた想い、これからの抱負などを話してもらった。


— 顧客体験コレクションは、成長活動ファンドから生まれたんですね。

中間:僕が古屋さん、齋藤くんを誘って3人でエントリーしました。古屋さんには以前担当していたクライアントのwebサイト制作をお願いしたことがあって、その時の仕事ぶりがとても丁寧で素晴らしかったので「ぜひアイデアに並走いただきたい」とお声がけさせてもらいました。

齋藤:僕はいつの間にか起案者に名前が入ってました(笑) 顧客体験コレクションは、中間さんが印刷会社さんの会議室でみたDMの棚がヒントになってるんです。

中間:打ち合わせに行ったときに、会議室の棚にいろんなDMが収納されてたんですね。業種別、“新規獲得” “定期コース引き上げ”などのステータス別に分類して並べてあったんです。担当者にお聞きしたら「自分が顧客の立場に立って、おもしろいと思ったものを主体的に集めている」ということでした。これはいいぞ、と。その印刷会社さんはコミュニケーション戦略の設計までやっているところなのですが、この取り組みをヒントに大広バージョンとして発展させて何かできないかと思ったんです。

古屋:中間さんからお聞きしたとき、すごくいいアイデアだと思いました。制作資料のサンプルはどうしても同じようなものに偏りがちなので。ただ、大広の場合はオフィスが分散しているので、ツールを棚に収納するやり方では使い勝手が悪すぎます。話し合う中で「すべてオンラインに集め、いつでも閲覧できる場所を作ろう」ということになりました。

中間:広告会社は仕事の幅も広いので、例えば居酒屋のご主人の気遣いや会話でも何かに活かせるかもしれない。印刷会社さんの場合はDMだけでしたが、大広バージョンでは日常生活の中でのあらゆる「いいな」を集めるかたちに発展させました。ブレストでも役立ちそうですしね。

— ローンチからもうすぐ1年になります。

中間:あっという間でした。2019年度の成長活動ファンドに応募して、そのままプロジェクト化、テスト期間を経て翌年5月にローンチしました。起案者の我々3人と「人の成長が財産」推進局のメンバーが事務局として運営しています。現在はグループ会社も含め、約500人が登録してくださってます。毎月、投稿数が最も多かった方には「一番見つけたで賞」として、希望をお聞きして顧客体験をプレゼントしているんですよ。

古屋:受賞者の方には体験記を投稿していただいてるんですけど、みなさん感性ゆたかな方ばかりで、体験記がどれもおもしろくて。

齋藤:検索エンジンだと自分が興味のあるものだけで、限られたものしか出てこない。顧客体験コレクションには多くの人の視線が集まるから、自分と違った多くの視点でものをみることができるのがいいんです。自分は運営側ではあるんですが、仕事でアイデアが欲しい時などに、よく利用してます。

中間:齋藤くんはビューアー専門だからな。投稿もよろしく(笑)

古屋:ネットだと自分が思っている以上にシステマチックにレコメンドが送られてくるんですよね。だから、よくみてる記事の関連記事みたいなものばかりに目を通しているという状況に陥りがちで。顧客体験コレクションの良さは、自分のリズムの中にないレコメンドにあふれていること。新鮮な情報がいつもみられます。

— いろんな人の感性に触れることができるツールでもあるんですね。

中間:そうなんです。シェアされた感動体験を仕事に活用できるツールですが、様々な投稿に触れて感受性をゆたかにして、アンテナを磨いてくれるツールでもあるんです。 #会話 #店_施設 などのようにハッシュタグをつけて投稿すると、それぞれのカテゴリーに分類されて掲載されるようになっています。ぜひ気になるカテゴリーをチェックしてみてください。

齋藤:「顧客価値の大広」を掲げているので、社員が顧客体験のことを知ったり、話したりするのは大切なことだと思います。顧客体験コレクションの投稿をヒントにクライアントに提案して採用に至ったという話も耳にしますが、直接仕事につながらなくてもクライアントとの会話のきっかけになったりもしますので、個人的には幅広く役立つツールだな、と思っています。

古屋:検索エンジンは便利だけど、便利な故に入ってこなくなった情報もあると思うんですよね。自分には直接関係なさそうだけど、触れるとおもしろいといったものが入り込む余地がなくなってきている。顧客体験コレクションの場合は、投稿者それぞれの目線で体験が語られているのがいい。投稿を読むのは楽しい時間です。

— 特に心に残った投稿があれば、ぜひ教えてください。

齋藤:「誕生日に送るDMで、その月に誕生日を迎える社員がお祝いしている」という投稿があって、すごくいいなと思って、クライアントに話しました。誕生日のDM自体はよくありますけど、自分と誕生月が同じ社員からメッセージが寄せられるだけで、かなり印象が違いますよね。

中間:僕は葬儀屋さんのエピソード。お母さんを亡くされた娘さんの立場からの投稿だったんですが、葬儀から1年後に葬儀屋さんから「お母様が亡くなられて1年になりますね。お送りしたいものがあります」と電話があり、届いたらお母さんの好きな色のお花だったと。葬儀の際に伝えたのを覚えておられたようなんです。一緒に故人を偲ぶ。これほどの顧客体験ってあるのかな、と思いました。お祝いするだけが顧客との向き合い方じゃないのかもしれない。そんなことに気づかされました。

古屋:コロナ禍ということもあって、リアルな体験だけでなく、ネットで読んだ記事+自分がどこに感動したのかを書き添えた投稿も増えています。例えば最近ではサイボウズの青野社長と明石市の泉市長の対談記事の投稿がありました。その対談は私もすでに読んでいたのですが、投稿者の感動したポイントに「なるほど」と、新たな視点を得ました。

— コロナの感染拡大に伴い、投稿内容も変わってきた。

古屋:ローンチすぐは「こんな施設に行ってきました」とか「乗った飛行機のCAさんが心のこもったメッセージを置いてくれました」といった投稿が多かったのですが、徐々に「コロナ禍でこんな対話があり、感動しました」「○○でのコロナ対策はこんなのでした」という内容が増えていきましたね。

中間:どのカテゴリーでもコロナ絡みのものが多くなってきたので、新たに“新型コロナ”というカテゴリーを追加したんです。今のコロナ禍でも、というよりコロナ禍だからこそ、よろこばれることもたくさんあります。だからこそカテゴリーとして独立させようと思いました。新型コロナカテゴリーでも投稿に着想を得て、実際に提案して採用に結びついた事例もあると聞いています。

古屋:パンデミックで生活スタイルが新しくなり、顧客サービスのあり方も変わってきています。顧客体験コレクションはみなさんからの投稿で成り立っているので、日々の暮らしを反映して、どんどん変化し続けてるんです。

上:東京第1ブランドアクティベーションプロデュース本部 第1プロデュース局付 中間 陽介
左:東京第1ブランドアクティベーションプロデュース本部 第1プロデュース局付 齋藤 俊
右:東京第1ブランドアクティベーションプロデュース本部 業務マネジメントチーム 古屋 奈津子

— みえてきた課題などがあれば教えてください。

中間:グループ会社の社員も含めて登録が約500人。かなりの数になりましたが、投稿を頻繁にしてくださる方とビューアー専門の方に二極化しています。もちろん、みてもらえるだけでもうれしいのですが、これからは“投稿者デビュー”してくださる方が増えるといいなと思っています。

古屋:仕事での活用を想定していたことと、社内のコミュニケーション活性化のために一般的なツールを使わずに、イントラネットの中に置き、社内IDを持っている人だけが入れる仕組みにしているのですが、ログイン時に自分の名前が出るので、それが気恥ずかしかったりして投稿しづらい人が一定数いるんでしょうかね。

中間:それと日本人的な生真面目さで「こんな投稿で大丈夫かな」と自分でハードルを上げすぎている人が多いのかもね。でも、そんなことは一切思わず、自分の心が動いたことを投稿していただきたいです。僕たち事務局メンバーもちょっとした小さなエピソードをあれこれ投稿していますので。

齋藤:僕はビューアー専門になりがちなのですが、ビューアーも顧客体験コレクションの参加者なので、まずは関わりをほんの少しだけでも増やしていただけたらと思います。

古屋:そうそう。気に入った投稿があれば、いいねボタンを押したり、一言でもコメントを残していただけたら。投稿された方はビューアーから何かしらの反応があるとうれしいはずなので。みなさんお忙しいので投稿する余裕まではない方も多いかと思いますが、まずは「いいね!」からお願いします。

— みなさん自身がこのツールの一番のファンのように感じます。

中間:僕はかつての上司が贈ってくれた「顧客を主語にクライアントと会話しろ」という言葉が大好きで、宝物にしています。仕事には納期など様々なことが障壁として立ちはだかってきますが、どんな時でも顧客がよろこぶイメージが湧かないものは提案したくない。追い込まれる時ほど顧客のことを考えるようにしています。顧客体験コレクションの投稿をみるたびに「やっぱりいいな、こういうことが大事だよな」と思いながら、日々の仕事に邁進してます。

古屋:広告会社はクライアントワークが中心なので、社内向けのものを時間やお金をかけてつくる機会はわりと限られていて、私の場合は、この顧客体験コレクションが初めてなんですね。この取り組みは社内をゆたかにしていく仕事。制作した人間としても、利用者としても思い入れがあります。

齋藤:仕事の提案に活かしたり、めちゃめちゃ利用しているんですが、今年度からは投稿もがんばります!

— 今後チャレンジしたいことがあればお聞かせください。

古屋:コロナでなかなか帰省できない状態が続いていますが、私は地元がすごく好きなので、将来は何らかのかたちで地元に貢献したいです。顧客体験コレクションには国内のグループ会社の方も参加してくださっているので、日本中の拠点から感動体験やアイデアが集まる社内ポータルになると素晴らしいなと思っています。地方ならではの感動体験とかもありそうですよね。より良いツールするために、事務局もがんばっていきます。

中間:「本気で1人の顧客を心からよろこばせたい」なんてことを思っています。僕は大広に入って一番感動したのが、あるお菓子メーカーの仕事で、20組40人の小学生親子を招待して、工場や近隣の観光地を巡るツアーに携わったんですね。1年がかりのプロジェクトで、当日はお世話係で同行して。後日、参加者のお父さんからクライアントに「娘とは忙しくて会話する機会がなかったけど、娘から話しかけてくれて関係が深まりました。良い機会をありがとうございました。これからもファンで居続けます」とお礼の手紙が届いたんです。うれしくて仕方なかった。またあんな仕事がしたい。これが個人として。
感動体験コレクションでは、顧客に精一杯よろこんでもらおうと努力している方の発想や仕事の姿勢を伝えていくことにも取り組んでいきたいです。あと、2年目に向けて「感動アウトプット&インプットツール」から「提案に活かしましたツール」に育てていきたいと思っていますので、クライアントに話してみた、アイデアの参考にした、実際に提案したなど、みなさんからどんどん発信いただけたらと思っています。

— 最後に社員のみなさんへメッセージを。

齋藤:仕事にも役立つと思いますので、ぜひ覗いてみてください!

古屋:どんなことでも構いませんので、一度投稿してみてください。社内のコミュニケーションツールとしても使っていただきたいので、コメント欄で会話して、直接接点のない社員同士もつながっていただけたら最高です。事務局メンバーも投稿にコメントしにいきますので、よかったらレス付けてください。
投稿はハードルが高すぎると感じる方は、投稿にいいね!をしていただけたらうれしいです。何らかのアクションがあれば「こういう投稿に、たくさん反応があるんだ」と事務局で把握できるので、それを参考にどんどん改善もしていけますので、よろしくお願いします。

中間:感動体験はその場で感じた時が一番ホットです。短い言葉でも構いません。その時の気持ちまるごと、スマホでさくっと投稿してください。投稿をみる方たちにもよろこんでもらえますし、自分が何に感動したのかが投稿としてストックされていくこと自体にも価値があります。社員ひとり一人がアンテナを張り巡らせ、感動体験を積み上げていくことで「顧客価値の大広」を示すひとつの証になっていくと思います。

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