Vol.35 Share on Facebook Share on Twitter

関西のまちの活性化を、いろんなやり方で。
ご相談がたくさん舞い込んでます。
第1事業開発局 吉原 達哉

約10年の営業経験を経て、現在は事業開発局で得意先の新規事業案件やスタートアップ企業のマーケティング支援に携わる吉原氏は、大広の掲げるブランドアクティベーション〈得意先の顧客育成サポート〉と〈事業育成サポート〉を体現する一人だ。神戸出身で現在も大阪本社に所属。大広入社後の研修で数ヶ月東京に滞在した以外は、長く関西を離れたことがないという生粋の関西人。JAPAN TECH PROJECTでは、テクノロジーとイノベーションの世界最大級の展示会CESへの出展支援やサイト制作を担当している。今回は吉原氏に入社までの話や事業開発局での仕事について、JAPAN TECH PROJECTへの想いなどを聞いた。

大広 事業開発本部 第1事業開発局 吉原 達哉

— 学生時代は都市環境工学を専攻されていたそうですね。

吉原:はい、実は理系で工学部です。学科は地球総合工学科という壮大な名称です(笑)将来は何かモノづくりに関わりたいとは思っていましたが、具体的ではなかったので、それなら幅広く学べる分野がいいのかな、と。修論は地域におけるスポーツクラブのマネジメントに関する研究でした。大学まで野球をやっていたので、スポーツを通して地域を活性化できないかと考えていました。自分は中学1年の1月に阪神・淡路大震災を経験しましたが、その時のことが根っこにあるのかもしれないです。家は壊れてしまったけど、周りに友達が居て、彼らと一緒に過ごしていると心が少し軽くなって、それが支えになりました。建物を失っても、人のつながり、コミュニティがある。そのありがたさを身をもって知りました。

— デベロッパーや建築会社ではなく、広告会社を志望されたのはなぜですか?

吉原:まちづくりを研究していくうちに、やはり建物などハードだけでは充分ではなく、そこをどう有効活用していくか、どう情報発信していくかといったソフト面が重要だなと思ったんです。「なぜ理系で広告会社に?」と言われることもあるのですが、自分としてはとても自然な選択で。ハードを作るより、スポーツイベントや博覧会で地域を盛り上げていく仕事ができればと思い、就職活動は広告会社に絞りました。大広は素で面接を受けて、素のままの自分で通った感じですね。

— 「まちづくり」「コミュニティ」は吉原さんにとって柱となるテーマなんでしょうか。

吉原:そうですね。僕は大広社員向けの「新規事業ワークブックゼミ」の一期生なんですが、そのゼミで発表した事業アイデアも地域の自治会に関するものでした。その頃、住んでいるマンションの自治会役員に選ばれたのですが、愕然とすることが多くて。自分が最も身近に感じている課題だったので、それをテーマに新規事業を考えました。ちなみに、ゼミ自体に応募したきっかけは、事業開発局で仕事をする中で「広告会社は自分たち主体では事業はしていない。スタートアップ企業をサポートするにあたって、擬似的でもいいので起業の視点を持ちたい」と思ったからだったんです。

— 擬似体験とはいえ、ゼミで新規事業を企画した感想はいかがでした?

吉原:人のことだと結構客観的にみつめることができ、アドバイスできるのですが、自分主体だとそれが難しい。自治会のあり方なんていうと社会課題っぽいし、その「不」の解消を考えることに注力しがちになるのですが、そもそも今暮らしている人たちにとってより良いものでなければ、自治会は無くてもいい。この考えも成立するわけです。目の前の課題よりもさらに奥にある課題をみつめる重要性、「課題の精度」について考えさせられました。

— 現在は事業開発局で活躍されていますが、営業経験を強みだと感じたことはありますか?

吉原:営業かスタッフか。僕は「どっちでもいいんじゃないか」という考えになりました。営業時代の上司は一級建築士の資格を持っていて、昔は展示会などを担当する部署にいたのですが「営業でもプロモーション的なことはできる。営業から仕事を変えていきたい」と、自ら希望して営業になった人。研修で出会って、その影響を受けて僕も営業志望に変わって。営業、それもその人の部に配属され、6年間学ばせてもらいました。自分の営業経験が強みになっていることをひとつ挙げるとすれば 、人間関係を構築する部分でしょうか。
事業開発局では様々なネットワーキングや探索がミッションにありますが、「その人脈をどう生かすか、どうビジネスにしていくか」という視点は営業時代にしっかり植え付けられました。ただ知り合いになるだけではダメなわけで、マネタイズをどうするかの意識は重要です。いろいろな企業や人との間をつないでいくことの価値はすごくあると思っています。点と点がつながって、線になっていく。たくさんの人をつないで、プロジェクトを進めていく。それをプロデュースする事業開発局は、自分には結構合っているなと思います。

— 社外パートナーとの協業、ネットワーク構築では、どんなことを心がけていますか?

吉原:プロデューサーとしての役立ち方には様々なかたちがあります。自分一人で解決しなくてもいい。問題を解決するために誰かを紹介して、人と人をつなぐことで大きく物事が動くことがあります。それぞれができることを出し合い、困りごとを共有し、大広や吉原がどんな風に役に立てるかを考えること。それがすべてですね。

— 吉原さんのところには、新規事業の相談もかなり寄せられているそうですね。

吉原:ありがたいことに、たくさんのお声がけをいただいています。仕掛中の案件ばかりで、詳細は話せないのですが、既存の設備やサービスを新しい視点で生かしたいというご相談もあれば、本業にこだわらず新規事業を検討していきたいというケースもありますね。相談〜事業立ち上げ〜ローンチまで、何年もかかる長いプロジェクトになりますので、広告とのスケジュール感の違いに戸惑うこともあります(笑)製品の金型を作る必要のある案件もあります。自分を一言で表すと「何にでも首を突っ込みたくなる性分」。おもしろそうやん!と思うと顔を出さずにはいられない。そろそろキャパシティオーバーしそうとかいいながら、絡まないという選択はない。でもそうすることで取れる情報もたくさんありますからね。

— 2018年からはCESの出展にも携わっておれらますね。

吉原:CESは50年の歴史で家電見本市からテクノロジー展示会になり、現在ではマーケティング要素もかなり強くなっています。現在、共同でJAPAN TECH PROJECTの企画運営を行なっているクリエィティヴ・ヴィジョンさんは日本唯一のCES認定販売代理店。元々は大広自身が出展する側として、出展方法を探す中で知りあった会社です。そのうちに「一緒にパビリオンをやりませんか」となり、JAPAN TECH PROJECTへと発展しました。ちなみに大広はCES2018で新しい日本酒の飲用体験を提案する「Masu Glass(升・グラス)」を発表しました。センサー、LED、通信制御によって様々に光る升で、センサー技術を応用したエンターテインメントIoTのスタートアップであるYume Cloud Inc.と開発したものです。

— JAPAN TECH PROJECTについて簡単に教えていただけますか。

吉原:クリエィティヴ・ヴィジョンさんは施工メインの企業なので、大広ではプロジェクト全体のマネジメント、PR、サイト制作を行なっています。JAPAN TECH PROJECTを立ち上げる前は、CESには企業が別々の場所でブースを出していたので、フランスの「La French Tech」のような国全体としての露出がなく、インパクトがなかったんです。テクノロジーの分野では中国の台頭がめざましく、正直、日本ブランドの勢いは衰えています。とはいえ、日本の信頼感や一定の集客力はあるので、アピールしないのはもったいない。そこでCES2018からJAPAN TECH PROJECTとして1つの傘のもと、日本企業のブースを集めました。
2019年には経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラムJ-StartupもCESにブースを出展。CES2020はJAPAN TECH PROJECTとJ-Startupのブースが隣り合わせになり、より「オールジャパン」感が強まりましたし、セミナーの放映や冊子制作などで連携を少しずつ進めています。J-Startupは国の取り組みなので出展料が無料なのですが、純然たるスタートアップ企業のみが対象で厳しい審査があるので、JAPAN TECH PROJECTでは有料でも参加を確実にしたいスタートアップを始め、大企業の社内ベンチャーや自治体、大学などの出展支援により軸足を置くことになると思います。

— 出展する企業がCESに期待されていることはなんでしょうか。

吉原:もちろん、「世界進出の足掛かりに」という期待もありますが、近年はCESの注目度がアップし、PRでとりあげられることが増えたので「日本国内でのリーチ獲得のために」という声もよく聞きます。それに、国内の展示会では会えないような大企業トップがブースに立ち寄るのもCESならではですね。あと、日本では反応が鈍かったウェアラブルデバイスがCESでかなり高く評価されたというケースもありました。日本と海外では価値観も違いますし、CESはプロトタイプを出展して意見を集めることもできる場。日本は内需が強いので「まずは国内市場で」という考えでビジネスを組み立てる企業は、スタートアップにも多いのですが、そんな企業にもCES参加のメリットは少なくないと思います。

— 世界に打って出るためだけのCES だけではないのですね。

吉原:もちろん先ほどお話ししたデバイスのように、海外に持っていくことで評価される商品もあると思いますが、個人的にはグローバル展開をサポートすることだけでなく、海外のトレンドをどう日本にインストールできるかという視点を大切にしています。すごくいいテクノロジーを持っていても、技術的なところをtoo muchに語りすぎてしまって「結局、人にとってどういいの?」の部分が置いてけぼりになっているケースってわりと多いんです。平易な言葉を使って、一般の方とどうコミュニケーションをしていくかに悩まれることがある。技術者と生活者の間をつなぐ、いわば翻訳・通訳のような人間が必要です。その点は広告会社の得意分野。僕自身は理系出身で物理のことも少しわかりますし、テクノロジー関連に苦手意識はありません。

— これからの広告会社には理系の人が、もっと必要になるかもしれないですね。

吉原:広告会社の守備範囲は広いですし、大広でも広告の領域を越えた仕事がこれからさらに増えていくと思います。今はデータ重視でその分析・活用やそれ以外の面でも、広告会社にさらに理系の人材が必要になっていくと感じています。自分の時代はともかく、今でも理系の学生から「広告会社に行って大丈夫でしょうか」と聞かれることがあるのですが、当然ウエルカムです!

— では、最後に。愛する地元、関西のためにどんなことに取り組みたいですか。

吉原:いろんなやり方で、関西のまちの活性化に貢献したいです。関西のスタートアップのマーケティング支援をすることも、元気なまちづくりにつながっていくと考えてやっています。自分の場合は「世界を変えてやるぞ!」みたいなことはまったく思っていなくて、あくまでも自分にとって身近である大阪・関西がベース。そして、身近な人たちを思い浮かべて、「この人たちをどう幸せにできるかな」「この人たちがこの商品やサービスを欲しいと思うかな」と考えるようにしています。

— 身近な人の幸せを思い浮かべて。

吉原:そこはすごく大切にしてます。まちと人のつながり、自分たちのまちをどう元気にしていくかをずっと考えてきましたし、ローカルでどう活躍できるかが結構自分のモチベーションになってます。特に大阪では大広という看板の大きさを日々感じていて、それをフルに使わせてもらっています。よくわからない案件、どうしていいかわからない案件が発生した時に「まずは吉原に相談してみよか」と声をかけていただけるのは、とてもうれしいことです。広告会社の守備範囲は広がっていってますから、いろんな接点で動き回ることで、大阪・関西の経済を元気にできるドライバーのひとつに、大広や自分自身がなれたらと思ってます。

Daiko WEDO COCAMP SHALL WE CAMP? RECRUIT ミラスト “生活者データ・ドリブン”マーケティング通信 AD+VENTURE 博報堂DYホールディングス