Vol.2 2018.11.08

深化と進化へ、二つの布石。
今、大広はどこへGOするのか?(後編)
平成最後の年、93日。大広は二つの新会社を同時に立ち上げた。
その名は「顧客時間」と「澤田設計事務所」。ここ数年、大広はアクティベーションデザイン®「顧客を、共につくり、味方にする」を掲げてきた。この二社は、それをさらに深化と進化させる尖兵と位置づけられる。なぜ、この二社か?大広は今という時代をどう捉え、どこへ向かうのか?大広の安藤専務、顧客時間の共同CEO代表取締役・岩井氏、澤田設計事務所の代表取締役・澤田氏に話を聞いた。(前編はこちら

— 大広には800人以上の社員がいます。
今回、新たに会社を作るにあたって、なぜ、このお二人に白羽の矢を立てたのですか?

安藤:この二人に会社やらそうと思ったのは、顔っていうのもある。顔つき。
岩井のほうは、共同CEOに奥谷さんという顏もある。顧客時間のロゴマークがあるじゃない?
あれは二人のことではないにしても、この二人のカップリングを想像するわけだよね。
澤田は鈴木が横についているんだけど、この髪型とか、こういう佇まいの雰囲気のやつは、俺の経験から行くと、うまくいくぞと。

澤田:まじっすか。ありがとうございます。ちょっと今の書いといてもらっていいですか(笑)

安藤:いや、二人とも、もぞもぞしてたから。もっと羽ばたけばいいものを、羽ばたききれずにいる感じがしていてね。羽ばたかせてやろうと思って。あとは人に強いとか、対面力みたいなことがある。対人力っていうかね。それは特に澤田は強いよ。

— 岩井さんには、対人力とはまた別の魅力が?

安藤:岩井は考えていることが精緻だよな。だから、そういう意味じゃ、澤田と岩井は好対照だと思うよ。
俺は同じクライアントの仕事を岩井と一緒にやっていたので、その中で事業のことをちゃんと考えられるなっていうのは分かっていた。と思っていたら、奥谷さんっていう人がそこに現れたから、「これはしめた!」と。二人をセットにしたら完璧だと思ったわけ。

岩井:奥谷さんは拡げる人なんで(笑)

安藤:そうね。関係が良くできていて、岩井は奥谷さんが言ったことを含めて道筋をうまくつくる。それで、これは共同CEOだなって直感的に思った。どっちかだけが社長っていうのはあり得ないと。

— 澤田設計事務所に関しては、澤田さんは鈴木さんと組まれていますね。

澤田:私は鈴木とは七年、一緒に仕事をしていて、データを通して顧客を見える化させ、それをどういった形で幅広く使っていくかという進化をずっとやってきました。私は精緻化されていないことを言うので、それを感覚的に捉えて消化できる人間ってそんなにいないんですよ。鈴木に面倒見てもらっている感じ(笑)

岩井:鈴木さんは、顧客時間でいうと、僕のような役割ですよね。

安藤:やっぱりうまくできているもんだよね。

岩井:うまくできてますよ。精緻にやっているだけだと、こじんまりしますからね。たぶん澤田さんもそうだと思うけど、顧客時間の場合は奥谷さんがもうむちゃくちゃ拡げてくる。それは逆にいうと、これまでの枠組みからはむちゃくちゃ言ってるようだけど直感的に正しいことだったり、イノベーションのヒントがそこにある。それを事業として実行に落とし込むことを一緒にやる。たぶん澤田さんもそっちの拡げるタイプ。なので両方いないと。

安藤:この二つの会社って、別にクリエイティブ集団を出したわけじゃないんだよな。これまでの広告会社の子会社のつくり方って、クリエイティブ会社をつくるじゃない?ところが、この二社はある意味の事業コンサル、プラス実行力を備えた会社。それをつくろうとしたのは、広告会社のビジネス自体が変わるぞという根底がある。メディアにすがったクリエイティブをやっていて、それでオッケーであるという時代はもう終わってしまった。広告会社が変わらなきゃいけない。そのときにどの方向に変わるのかということなんだけど、大広はさっきから言ってる顧客というものをベースにして、その顧客価値を見つける能力を活かして、次の事業に向かおうとしている。この二社は、その尖兵となったというわけ。

岩井・澤田
岩井琢磨                    澤田善郎

—「顧客時間」と「澤田設計事務所」というネーミングも、
広告会社からできた会社としては珍しいですが、どのような狙いが?

安藤:顧客時間は、「もたらす価値が顧客時間」ということで、そこが一番ポイント。
澤田設計事務所は、澤田というのがチャーミングで、名前が入ったほうが面白いなと思ったのもあるけど、一番の肝は「設計」なんだよね。広告会社が「設計」ということを言う。ブランドを外に対しても内に対してもつくっていく、「設計」していく。データをベースにしてブランドを「設計」するというのが、非常にポイント。

澤田:今でも普通の会話の中で、実は「設計」ってめっちゃ使ってるんですよね。私だけじゃなくて他の人もみんなそうだと思うんですよ。サイト設計とか、コミュニケーション設計とか、建て付けのことを言っている。

安藤:単発でCMを作っているときは、「設計」ってなかなか使わなかった。それがいろんなタッチポイントやカスタマージャーニーがある中で、どういうふうに切り分けて、どこで情報を仕分けていくか?データからどうくみ上げてそれを構築していくか?というのがあるから、「設計」という言葉を使うようになったし、意味が出てきているわけです。そこが大事なの。

澤田:手法とかチャネルが複数になった時点で、やっぱり設計業が必要だっていうのは事実ですよね。

安藤:顧客時間については、「顧客にとっての時間」というものが大事だと言っている。それを、選択する時間、購入する時間、使用する時間の三つに彼らは分けたわけ。今までは一般に、買うところ、つまり購入する時間が一番大事で、選択する時間、使用する時間には、なかなか光が当たらなかった。でも、スマホやアプリで行動データが取れるようになってきて、そこを見ると、顧客の時間の中で使用時間が一番長くて、そこにいろいろなヒント、顧客の価値が眠っているんじゃないか?それを読み取り、次の商品開発や新しい事業展開に活かしていこうというのが、彼らの見立てなんだよ。

— そうやってお二人が社長になられてから、一ヶ月が経ちました。今の時点で安藤さんから見て、お二人はいかがですか?

安藤:ちょっとずつ、たくましくなって来たような気がする。澤田はもともとたくましいんだけど、岩井が特に。それはやっぱり、体を張ってやってるってことなんだと思うね。

—勝負をしているという感じですか。

安藤:当然それを狙ってやってるわけだけど、会社化するっていうのは、それだけピリピリ、ヒリヒリするようなことじゃない?今、いろんなところから声が掛かっているし、実際にお金が動くでしょ。そうやって、自分のやったことに対してちゃんと評価されて、お金が払われてということがあると、また違う興奮がそこに出てくる。いい仕事だねって言われるだけじゃなくて、具体的にお金で評価されるっていうのは、やっぱり違うものだから。それが出てくるとまた変わってくると思うよ。

岩井:二社とも機能が特化してる会社だと思うので、良くも悪くも点を深く掘れると思っています。
今までの大広の事業領域とは違う、チャネル開発とか、事業のインナーブランディングとかをやっていくっていうこと自体が、大広が「深化」する力になると思っています。
そういったこれまでの広告事業とは違う、とがった飛び地はもっとあったほうがいいと僕は思うし、その点がいっぱい増えてきて点と点がつながれば、もっと大広の提供価値は強くなると思う。

— 今後も新しい点をつくってゆくお考えはありますか?

安藤:彼らを点だとして、そういう点を新たにつくるとすれば、やっぱり事業っていうのは一つのキーワード。
それはクライアントの事業に寄り添っていくっていうことと、社会課題を取り込んだ事業を起こしていくということもある。だから一つの方向感としては、事業にどうやって向き合うか。

奥谷さん(顧客時間 共同CEO)が言っている、ものすごく好きな言葉で、得意先を広告主としては見ない。事業主として見る。私は事業家として得意先と対峙するんだ。というのがある。
今ある得意先だって、やっぱり事業をやっているわけなので、それに対してどういう風に責任を持つかということが大事になってくるんだよね。それを大広全体でできるようになっていくと、いいんじゃないかなと。今は変わり目だから、それぐらいにならないと意味がない。メディアがあって、広告を載っけて、ということだけでは誰ももう認めてくれないからね。

企業が生きていく、成長していくっていう中でこういう端境期が来ると、階段の踊り場が来る。その時に、どうやってもう一回立て直して伸ばしてあげるか。そういう目線が常にないと駄目だと思うんだよね。そんな目線と意気込みを持ってやっていけるような会社になったらいいと思うんだよ。困ってる会社いっぱいあるもん。

澤田:ありますね。

安藤:いっぱいこれからまだ出てくるし、二代目が三代目に代わったりする会社とか、地方から出てくる会社もあるだろうし。知らなかった会社がバーンと出てくることもある。だから、やっぱり事業的な感覚っていうのは、ものすごく大事になるんじゃないかと思うね。

— 広告会社という言葉が合わなくなってくるような感じでしょうか?

安藤:そうだね。逆に、それをこれから崩そうとしてるんだよ。そして、崩した上に大広っていうものをもう一回つくろうとしている。非常にメディアオリエンテッドな会社だからね、大広っていうのは。それはある意味危機っていうことだから。得意先も必死で生きているんだから、必死でサポートするっていうことだと思うけどね。

〈おわり〉
安藤・岩井・澤田
左 :株式会社大広 取締役専務執行役員/チーフクリエイティブオフィサー 安藤輝彦
中央:株式会社顧客時間 共同CEO代表取締役 岩井琢磨
右 :株式会社澤田設計事務所 代表取締役社長 澤田善郎
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