株式会社大広 消費者行動レポート ますます広がる生活防衛?! 変化し続ける買い物行動

株式会社大広(社長:高野 功)では、社長直轄組織としてマーケティング・コミュニケーション・ラボを設置し、コミュニケーション領域における様々な調査・研究開発を行っております。今回、消費者行動研究の一環として、店頭での購買行動に関する意識や実態について調査を実施しました。
昨年の原材料価格の高騰による商品価格の上昇や、リーマンショック以降の世界的な景気後退の状況下において、生活者の購買行動・意識がどのように変化しているかについて着目し、昨年11月に引き続き今年の6月に調査を実施し、比較しております。
概要は以下の通りです。

【調査結果概要】

■ 暮らし向きはまだまだ「悪くなっている」と感じられている
この半年で暮らし向きが悪くなったとする層は42%。前回の調査(昨年11月)では、昨年に入ってから暮らし向きが悪くなったと感じた層は40%であったことから、今年に入っても一向に暮らし向きは改善されていないと感じられている。
特に、40代では半数以上の人がこの半年でさらに「悪くなった」と感じている。

「昨年に比べ、家庭の暮し向きはどう変わったか」
(本年6月の今回調査では昨年11月の前回調査実施時と比較)

■ 昨年よりは落ち着いてきているが、まだまだ続く買い物行動の変化
価格の上昇と景気の低迷に伴う収入減のダブルショックによって、生活者は自らの生活を守るため買い物行動の変化を余儀なくされており、昨年の調査時には購入量(頻度、量)の変化、購入商品の変化、購入場所(店)の変化等となって現れていた。
このような「購入の仕方に変化あり」と答えた人の割合は、昨年11月には、ほぼ2/3の64%に達したが、今回調査でも48%が買い物行動を変更している。前回調査の場合、調査対象となった23の商品群ごとに買い物変更率を見ると、冷凍食品、パン、カップめんについては30%以上の人が買い方を変更し、商品群平均では19%に達していた。今回の調査でも商品群平均の買い物変更率は12%となっており、今年に入り、価格上昇は収まってきたものの、まだまだ生活防衛への動きは続いているようだ。
[調査対象の商品群は、参考資料データ集の表1を参照]

<調査データトピックス>

(1) 23商品群中7つの商品群で、15%以上の人が買い物行動に変化あり
15%以上の人が「購入の仕方に変化あり」と答えた商品群は以下の7つで、前回の15商品群に比べると半減しているが、10%以上は17商品群に上った。(季節性の高いビール類は除く)
1.肉類21%、2.冷凍食品20%、3.パン19%、4.野菜/果物18%、5.ハム等の肉加工品17%、6.魚介類17%、7.カップめん15% [表2参照] 

(2) 買い物行動の変化は、特定の商品群から購入頻度の高い基本食材へ移る
昨年は、値上がりや食の安全(偽装表示や農薬問題等)で話題となった商品群(肉、肉加工品、冷凍食品、パン、パスタ、マヨネーズ等)を中心に、多くの人が「変化した」と答えていたが、今回はそうした特定の商品群から、野菜や肉類、魚介類を含めた食生活の基本食材やパンなど購入頻度の高い商品群が「変化」の上位に上がってきている。

(3) 購入量の変化~前回に引き続き3商品群が減少
この半年間で買い物行動が増加に転じる動きはあるのか、という視点で見ると唯一、野菜/果物類がそれに該当する。前回調査でも、回数と量のいずれにおいても増えた人と減った人が拮抗していたが、今回調査では回数と量の両方で増えた人が減った人を僅かながらも上回るという結果となった。
一方で、前回調査で多くの人が購入回数を減らし、今回でもまだ「減った」という人が1割以上を占める商品群が、肉加工品、冷凍食品、カップめんなどである。 [表3、表4参照]

(4) 購入商品の変化~代替商品へシフト
購入回数の減少だけでなく、商品種類を変更する傾向にある商品群が、肉、冷凍食品、パンなどである。昨年には、値上げや景気の悪化に伴い、より安い代替商品や代替商品群へのシフトが始まった商品群ではあるが、こうした動きはまだまだ続いているようだ。(価格高騰が一段落したバター・マーガリンやマヨネーズは落ち着いてきている) [表5参照]

(5) 購入場所の変化~2~3店を賢く使い分け
全般的にやや落ち着き始めてはいるものの、パン、肉類、野菜/果物類を中心に購入場所が変化している(7%前後)。これらの商品群は前回調査で10%前後の人が「店が変わった」としており、緩やかながら変化がいまだ持続しているようだ。
では、変化後も含め、買い物する場所はどのように使い分けているのか。
生鮮とそれ以外の食品、日用雑貨に大別して買い回る店舗数を見ると、生鮮食品で2.68店、生鮮以外の食品が2.49店、日用雑貨品で2.29店利用されており、2~3店を使い分けながら最適な買い物を目指している姿がうかがえる。 [表6、表7参照]

<調査結果にみる買い物行動の変化>

■ 家庭の買い物行動は、当面「目利き」「目配り」「目敏さ」を意識した消費者が牽引?

●変化の背景
昨年の石油価格の高騰に端を発する値上げラッシュや、その後の経済不況は、生活者の家計に大きな影響を及ぼした。その影響は、生活防衛行動と言う形で買い物行動の変化として現れることとなった。具体的には、購入量の変化、購入商品の変化、購入場所の変化として観測されている。

●今後の買い物行動の変化はどうなる?!
昨年、緊急避難的に変化した買い物行動は元に戻っているのか。この変化が新たな買い物行動として定着しつつあるのか。昨年11月に続く今回の調査時点においては、生活者の買い物行動は後者の様相を色濃く示していることが把握できた。未だに、買い物行動を変化させている人が10%程度の規模で生まれていること、買い物の回数や量が増える傾向が認められる商品群が野菜/果物類しかないことなどからも、いわゆる「ゆり戻し」は起こっていないと見ることができよう。

●内食化の増加による賢い買い物選択+お得度重視の日用雑貨。

1.今回の調査からこの変化は生活防衛のため、コストの高い外食を止め、内食化を進めることで、購入量と回数が増えたと見ることもできよう。
また前回調査で多くの人が購入回数を減らし、今回も「減った」という人が1割以上を占める商品群として肉加工品、冷凍食品、カップめんなどがある。これらは値上げによる割高感や食の安全への懸念がいまだ解消されず、回復が遅れている商品群といえよう。

2.商品の切り替え方からも、生活防衛への努力が垣間見える。牛肉から豚肉・鶏肉、高級品から普及品へなど「安い商品」への変更は当たり前ながら、肉類やハム等の肉加工品では割安感のある大きい徳用サイズに変更するケースも見られるし、野菜/果物類では大きいサイズへの変更だけでなく小サイズへの変更も見受けられる。小サイズの買い物は「使いきり」「無駄にしない」等の意識の現われでもあり、これもまた生活防衛のための知恵と言えよう。また、パン、冷凍食品、ハム等の肉加工品に見られるような、流通オリジナルのPB商品への変更も増加しており、さまざまな商品群にも拡大するか今後注視する必要があるだろう。[表8参照]

3.買い回り店の特定には、「安い」「近い」ことの他には「ポイントカード」を活用した、賢い買い物を意識している。特徴的なのは、生鮮食品での選択理由に「品質」があがってくることで、食の安全も一種の生活防衛と考えると、これも当然のことと思われる。また、日用雑貨では店舗選択の理由として「ポイントカード」が「安い」「近い」と同レベルであげられている。[表9参照]

●3つの目を意識した売り場作りが必須!
商品の選択、利用店の選択においては「安い」ことはもちろんのこと、生鮮食品での品質への意識、PB商品の検討、ポイントカードの活用等々、主婦の買い物行動に賢い立ち回り方が求められているようである。いうなれば、店頭での「目利き」「目配り」「目敏さ」が購買者(主婦)として必要とされているのであり、それに商品や店頭がどのように応えていくかがポイントとなっていくのであろう。

■ 調査方法
調査期間:2009年6月最終週
調査方法:インターネット調査
調査対象:20歳から65歳までの関東と関西に在住する主婦で各エリア500人の計1000人

※昨年11月の1回目調査も同じエリア、サンプル数で実施)

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株式会社大広 総務局広報部 長谷川 TEL 03-6364-8601

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