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『経営戦略としてのDE&I推進に向けて』 泉社長x早稲田大学長内教授対談 Vol 1

今期から「経営戦略としてのDE&I」を推進していこうとしている大広。 まずは経営層のDE&Iに対する認識を揃えるため、8月下旬に役員向けのDE&Iワークショップ(以下、WS)を開催。 ワークショップに登壇頂いた早稲田大学ビジネススクール教授の長内教授と泉社長のお二人で大広のDE&I推進に向けてお話頂きました。4回に渡ってお届けしてまいります。


Vol 1. 不確実性への対応において重要なDE&I

クリエイティビティには多様性が必要

長内教授:今、世の中でSDGsが当たり前になってきています。SDGsのゴールの中にもダイバーシティが含まれている。なぜなのか?を考えた時、ダボス会議でも、The Valuable500(V500)という障がい者の雇用促進のためのインクルージョンの活動を500社近い企業が率先して進めていこうという活動が始まっています。ここに、日本企業もANAなど40社ほどが名を連ねています。それをしないと生き残れないという企業の危機感が非常に強いんだと思うんですよね。
特に、日本の場合は、高齢化社会になってきていて労働人口が減ってきています。労働者をどう確保するかという問題がありますし、そういう観点に立った時、ダイバーシティというとソフトなイメージがあると思いますが、実はハードな、例えばゼネコンのような業界でも女性の活躍推進や、障がい者雇用などを率先してやっています。ゼネコン業界は今景気がよいのですが、一方で人材不足が顕著になっています。その時に、人材というのは男性だと思っている労働市場と、女性もいる、障がい者も働ける、と思っている労働市場とでは、全然母数が変わってきます。そうするだけで、企業の活動に選択肢が増える。そういうところにダイバーシティが活かされているということが一つあります。

泉社長:いわゆる建設業界のように、これからAIにとって代わられない、リアルで人が必要になるところで起きるのはわかります。一方で、SONYなどの人気企業でも、人材雇用に影響はあるのですか?

長内教授:クリエイティビティにおいては、むしろ多様性が必要。結局、労働市場を狭く捉えたとき、その範囲でしかクリエイティビティが生まれない。それを幅広く捉えると、より幅広い意見が求められる。それが大きいんだと思います。

泉社長:そっちですよね。
先日、長内教授のWSを受けて、「なぜ多様性、ダイバーシティを重要視するか」というと、本来目的が必要だと改めて感じました。女性活躍とか障がい者雇用はあくまで手段。「目的」としては、多様性によるアイディアの広がりとか、イノベーティブな組織作りとか、ボトムアップ型経営などだと思う。私はトップダウン型経営をやめようと推進しています。経営トップがすべて判断していくスピード感では、今の世の中の変化についていけない。現場やマネージャー層の持っている課題感を反映して革新していく時に、そこにも多様性が必要。

長内教授:まさに仰る通りだと思います。様々な変化が起きたとき、例えば、仕事の中にAIが入ってきたとき、この先どういう仕事の仕方になるのか分からないとき、など不確実性が高いときほど、ボトムアップは重要になってきます。
もともと戦略というのは、経営者が計画として立てるものだったわけですが、不確実性によって思っていた通りにことが進まないことがある。その時に、ボトムの意見を吸い上げることによって、計画を修正するプロセスを入れていくことが何より重要。
そうした時に、どれだけ重要な情報をトップに効率よく吸い上げられるかを考えると、そこにダイバーシティがないと、様々な情報が入ってこない。ルートが閉ざされてしまって、経営者が的確な経営判断ができなくなってしまう。まさに経営者が正しい経営判断をしていくための手段としてのダイバーシティは非常に重要なことなんですよね。

泉社長:そうですよね。
なので、今後、大広が取り組んでいくのは、いかに多様性というものを実現して、それを経営、ビジネス活動に活かしていけるか。もう少しいくと、そのための組織開発とかに必要なのかなと思う。

お互いの違う意見をぶつけ合わない限り、インクルージョンは進まない

泉社長:もう一つはやっぱり、社内の空気。忖度しない空気というか。私自身が、社長就任時に最初に伝えたのは、「全員が私のカウンターであってほしい」ということ。私に気を使ったり、遠慮したり忖度したりして、誉め言葉をもらうよりも、「泉さんが言っているあれよくわからないです」とか、「あれ上手くいってないです」とか全員がカウンタ―であってほしいと思っている。

長内教授:実はその空気、WSでも感じました。こういう研修やWSをすると、どなたが社長か知らない状態でも、この方が社長さんなんだろうとわかる会社と、わからない会社とある。大広の場合、すごくフラットに見えたので、紹介いただくまで泉さんが社長だと気づかなかった。そこが非常にいい空気感なんだろうなという印象です。

泉社長:最後に判断することはあっても、そのための材料だったり、意見などは非常に重要視しているので、そういう意味では、短い研修の間に感じ取っていただけたのは、すごくありがたいなと思う。

長内教授:もう一つ驚いたことがあって、大広さんはDE&Iの取組をこれから本格的にスタートさせるということなのですが、その割には、という言い方は失礼かもしれないですけど、すごく感度が高い方が多かったな、ということ。研修って、企業によると思うのですが、多少なりともやらされ感があるものですが、皆さんがすごく集中されて、役職の高い方でかなり仕事も忙しい中にもかかわらず、すごく真剣に討議してくれたことが、非常にびっくりしました。

泉社長:他の会社は違うんですか?

長内教授:全てではないのですけど、どちらかというと、日本人の気質なのかもしれないですけど、積極的に議論するというよりは、出方を待つ、というのが非常に多いですよね。そこに対して、とりあえず間違えてもいいから自分の意見を言う、それがやっぱり、インクルージョンへの第一歩で、お互いの違う意見をぶつけ合わない限り、インクルージョンは進まないので、そこはすごくいい土壌なんだな、と感じました。

泉社長:そうですね。
やっぱり、今日のディスカッションもそうですし、いろんな仕事を社内で進める時も、目的、ゴールをみんなで共有してスタートしようということを結構心掛けている。「この研修、忙しい役員を集めて何のためにやるんだっけ」ということを多分みんな頭の中で整理して参加している。だから、自分たちも何となくジェンダーとか、多様性とか、ダイバーシティとか意識しているけれども、それが今反映されていない、とか、それを一回みんなで共有して次に活かしていく、という強い目的意識がある。それは彼らに期待してますし、それを受け取っていただけたのはありがたいな、と思います。

■プロフィール

長内 厚(おさない あつし)
早稲田大学大学院経営管理研究科 教授

1972年、東京都生まれ。
1997年、京都大学経済学部経済学科卒業後、ソニー株式会社入社。ソニーにて10年間、商品企画、技術企画などに従事、商品戦略担当事業本部長付を経て京都大学大学院に業務留学。博士号取得後、神戸大学准教授、ソニー株式会社外部アドバイザーなどを経て2011年より早稲田大学准教授。2016年に現職。ハーバード大学客員研究員や国内外の企業の顧問も務める。2023年より総務省情報通信審議会専門委員。ニュース、情報バラエティなどテレビ出演多数。ダイヤモンドオンライン、with digital(講談社)連載中。近著に「読まずにわかる!『経営学』イラスト講義」(宝島社)がある。フジテレビ「LiveNewsα」コメンテーター。世の中の様々な事象を経営学を使って読み解く、YouTubeチャンネル「長内の部屋」を開設し発信中。

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