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ホテルマネージメントジャパン「オリエンタルホテルズ&リゾーツ 新ホテルチェーン立ち上げにおけるブランド戦略」 ホテルマネージメントジャパン「オリエンタルホテルズ&リゾーツ 新ホテルチェーン立ち上げにおけるブランド戦略」

ホテルマネージメントジャパン
「オリエンタルホテルズ&リゾーツ
新ホテルチェーン立ち上げにおけるブランド戦略」

ホテルマネージメントジャパン
「オリエンタルホテルズ&リゾーツ
新ホテルチェーン立ち上げに おけるブランド戦略」

コロナ禍の今、ホテルができることを。

2020年、世間が未曽有のウイルスとの見えない闘いをしている中始まった今回のプロジェクト。その中で大切にしていたのは「現地での体験」と「ホテルの想い」でした。コロナ禍で広告会社がホテル事業とどう向き合ったのかを語っていただきました。

──まずはお一人ずつ自己紹介をお願いします。

橋本:クリエイティブディレクターのハッシー橋本と申します。ブランド全体のディレクションを担当し、全体のコミュニケーションやプロモーションを考え、実行していくという立場です。

千葉:プロデューサーの千葉です。僕は業務全体に携わり、事業成長に貢献するためには、どの領域までクライアントのサポートをすべきかを考えながら業務を推進しています。

吉野:チーフコンサルタントをしています。ストラテジックプランナーの経験が長く、その経験を生かしながらブランドの規定やマネジメント、調査などを含め全体戦略を担っています。

内田:主にCRM領域のプランニングを担当し、今年度は特にLINE公式アカウントを中心としたお客さまとのコミュニケーションをプランニングしています。

游:主にデジタル領域のクリエイティブを担当しています。動画やWebのプロデュース、ディレクションやプランニングなどをしています。

本図:プロデューサーとして特にCRMの部分を担当しています。クライアントが今どういう課題を持っていて、それに対してどういう打ち手があるかということを考えながら業務を進めています。

──具体的な業務の内容をお聞かせください。

千葉:このホテルマネージメントジャパンさんとの業務は、いわゆる一般的な広告会社の仕事とはちょっと違います。もともと全国にあったオリエンタルホテルがチェーン化する際、今後どういうブランドにしていくかを考えるところからこのプロジェクトはスタートしました。やらないといけない領域が決まっているというよりは、ここの課題が大きいからここを取り組んだ方がいいんじゃないかなど、プロモーションの領域を超えて関わり、それを提案していくようなことをしています。

橋本:クライアントから仕事をもらうのではなく、パートナーとして積極的に提案しています。

千葉:クライアントも新しいホテルチェーンを立ち上げるというチャレンジをされているので、困難も大きいと思います。だからこそ僕らも考えがいがありますね。

吉野:ホテル別の細かい顧客のデータを預かって分析したのは、大広/大広WEDOでも珍しい例だよね。

橋本:ありがたい話です。でも、ここまで重要な情報を預かっているので、しっかり分析して戦略に活かさないといけないですね。

吉野:そうですよね。

千葉:初めは一般のインターネット調査で、世間の認知度やどういうイメージを持たれているのかの調査も行いました。各ホテルの顧客データも預かり分析して、どういう顧客がいるか、どういう課題があるかを見ていき、顧客や各ホテルの総支配人の方々にインタビューをして、何をするべきかを考えていきました。

──調査やデータ分析を通して顧客価値を見極めたんですね。

橋本:そうですね。あとは、スローガンを作ってブランドのコンセプトをクライアントと一緒に考えたのも大きかったですね。ホテルの代表からどんなブランドにしていきたいかという熱い想いを、僕と千葉くんはすごくたくさん聞いてます(笑)

千葉:どういうブランドになりたいかは僕らが提案してつくるものじゃなくて、クライアントの中にあるものなんですよね。特徴や歴史、こうなっていきたいという想いを、僕らが言葉にして整理する。それをやっていくと僕らはクライアントのブランドのことをだんだんと理解していくので、「こういうブランドになりたいのであればこういう商品やりましょうよ」とか、「こういうプロモーションやりましょうよ」ってどんどん広がっていきます。

──クライアント企業とはどのように向き合い、どのようにコミュニケーションをとっていらっしゃるのでしょうか。その上で大切にしていることもあればお教えください。

橋本:待ち受け型じゃなくて、提案型にしているというところですね。あとはクライアントの「こういうブランドになりたいんだ」という意志をしっかり把握すること。僕らが作ったものを共有するのではなく、クライアントがもともと持っているものを新しいものに変えていくということを意識しています。ホテルのホスピタリティーなどを考えるのはクライアントの役目。ただ、それを世間一般にどう認知させるか、どうブランド体験をつくっていくかということを考えるのは僕らの役目。

──クライアントと二人三脚で進めていることがよく分かります!ところで、プロジェクトを進行する上で難しかったことや苦労したことってありますか?

橋本:それはもう圧倒的に、コロナ。ホテルにお客さんが来なくて、緊急事態宣言でホテルの従業員の稼働も減らしている状態から始まったんです。お客さんを呼ぼうにも、積極的にPRできない状況でした。プロジェクトが始動して1年目は、認知を拡げたかった年。積極的に世の中に発信できなかったので、それは結構苦労しました。

千葉:あとは当初全国に13あったオリエンタルホテルをチェーン化するときのこと。それまで各ホテルがそれぞれの総支配人の想いの下で運営し、それぞれ成功体験がある。チェーンとして統一したものを作っていくとなったときに、それぞれのホテルの特性やそれを支えてくれるホテル利用者、どこを統一してどこを生かすべきなのか。それを考えるのが難しいですね。

游:実際にホテルに行って話を聞くと、現地の方々の強い想いを感じてそれに応えなきゃいけないなと感じる一方、本部の方が考えてることもあるし、それらをどういうポイントで調整していくか。難しい部分でもありましたし、楽しくもありました。

──今後はどのような取り組みをしていきたいですか?

橋本:1年目(2020年度)はチェーン化のブランドづくりをして、2年目の今(2021年度)はCRM、顧客データを統合して分析していくフェーズに入っています。内田くんや本図くんが中心になって、これからホテルチェーンが進むべき道を考えています。

内田:各ホテルがそれぞれ特徴を持つ中でチェーン化しているので、特徴を残しつつ良いところは一体化していきたいなと思っています。例えば簡単なことだと、メールや公式SNSの発信、あとは実際のホテル利用時にお客さまの名前をお呼びするというのも受取る側からしたら嬉しいですよね。そういうところまでCRMとしてやっていきたいなと思っています。

本図:もちろんCRMもすごく重要とは思っているんですけど、2年目以降はもっと結果を出していきたいと個人的には思っていて、それがきっと大広/大広WEDOへの信頼にもつながっていくでしょうし、1年目でしてきたことを基に実績づくりをしていきたいです。

千葉:実績を残したかどうかはすごく大事ですね。信頼関係ができるって、別に仲良くなるということではなくて。成果として残せて、クライアントからこれからも我々と関係を続けていきたいなと思われるようにやらないといけないですね。

──コロナ禍、ホテル業界で実績を残していくのは本当に大変だと思います。

橋本:まず、旅行推奨のPRがなかなかできない中で、ホテルがどうアピールする?ということを考えました。

千葉:ホテル業界からしたら、ビジネス需要とインバウンド需要はこれまで売上げにすごく貢献してたはずなのに、コロナでそこができなくなってしまった。今後は国内のレジャー利用をどうやって増やすかということがテーマになっています。今オリエンタルホテルズ&リゾーツがやろうとしていることは、単なる宿泊先ではなく、その地域ならではの体験ができるようなホテルになることです。そのためには、その地域のレジャーを掘り起こして今まで世間にあまり知られていなかったものを提案することが必要で。ホテル内だけではなくその土地の方々とも連携して、地域の活性化を目指しています。僕らがその地域のことを知らないと提案できないので、現地に行って自分たちで体験しながら提案していくようにしています。出張が多くて大変ですけどね(笑)

橋本:そこでしか味わえない体験を、ということで僕らが提案したのが「神朝(かみあさ)プロジェクト」です。気持ち良く朝を迎え、気持ち良く帰ってもらう(=「神朝体験」)迎える朝が楽しみなホテルとしての取り組みです。

千葉:このプロジェクトも、ホテルの中の人だけで考えるのではなく地域を巻き込み、その地域ならではの朝体験をつくることを意識しました。
例えば、「オリエンタルホテル 沖縄リゾート&スパ」の近くに、「やんばるの森」という世界自然遺産への登録が決まった地域があります。世界遺産に登録されると、多くの観光客がその場所に訪れる「オーバーツーリズム」と言われる現象が起きます。人が集まり過ぎた結果ゴミが増えたり、自然が壊されたりすることがあるんです。そこで、ホテル利用者が自然遺産を体験しながらその自然を守る体験を提案しました。
「やんばるの森」って日本に生息する動植物の約4分の1ほどが生息するすごく豊かなところなんですね。ところが、たくさんの人が自由に出入りすることで外来種の種が服や靴に付いて入ってきてしまい、育ってしまうんです。そういったことをホテル利用者に知ってもらい、外来種を焼却処分することを「神朝体験」としました。実際に自分でやってみるとすごく勉強になって、自分の今後の人生にも生きるような価値観に出会いました。“知る”ことがこれからの観光にはすごく大事なんだろうなと思っています。

橋本:SDGsをアイデアに入れました。実際に「やんばるの森」を体験したときに、こういう経験価値がいいなと思って。旅の思い出として残るためには、学びなど何か持って帰るものがあったほうがいい。「神朝体験」は、帰るときに「いい旅だったな」って思い出に残るというところが重要だと思うので。動植物を守るとか、地域を好きになる行動を自分が起こすことによって、記録でなく記憶や思い出に残るのではと思っています。

──最後にお一人ずつ就活生にメッセージをお願いします。

橋本:僕は情報感度が高い人が広告業界には向いてると思います。なんでも面白がるのが重要。新しいことを一から生み出すのは難しい。でも今は色々組み合わせて新しいものにするという考えが必要だと思っているので情報や経験は宝です。今回のホテルの案件は特にいろんな業種とつながる機会も多いので、広告業界を目指す方にはいろんな知識をつけ、情報感度を高めることを楽しんでもらいたいです。

内田:自分自身、「体験と挑戦」を学生時代のときに大事にしていました。大広に入ろうと思ったきっかけも、いろんなことに挑戦したいと思ったからなんです。学生時代にいろんなことを体験していると視野も広がるし、その分スキルも付いてくるかなと思います。

吉野:今の就活生の皆さんの学生時代はコロナ禍がしばらく続いてるときなので、いろんなことに対して不満を持っている人が多いんじゃないかと思うんですよ。その不満を持って「世の中をこうしたい」とか、「もっとこんなふうになったらいいんじゃないか」とか、そういった考え方や世の中の見方、読み解き方をたくさん持っている人と一緒に仕事をしたいなと思います。

千葉:実際に自分が“感じる”経験を増やすことが良いと思います。何かの勉強をするのも大事だけど、それよりも自分の感性を磨くこと、いろんな経験値を増やすことに時間を使うと、社会人になってから生きるだろうなと思いますね。

游:僕は学生のとき広告や映像の勉強は全くしていなかったのですが、それでも学生のときに経験したことは全部、今の仕事に何でも繋がっているし生かせています。これまでの経験すべて、広告業界に入って無駄になることは全くないと思うので、残りの学生生活も1日1日、何事にも楽しんでいただきたいです。

本図:何にでも興味を持ったり、すぐに調べたりする癖をつけるのが良いと思います。調べて本当にそれを体験しに行った人は、結果的に引き出しが多くなるので、広告業界に向いていると思います。入社後も、その情報をきっかけとして、いろんなアイデアが浮かんだりすることもあると思いますよ。

──本日は貴重なお話をありがとうございました!