「ライフコース」(life course)とは、「ライフイベントの選択の結果描かれる人生の軌跡」のことであり、まさに「人生行路」です。この概念は主に社会学的アプローチで用いられており、人生上の出来事=ライフイベントが、いつ、どれくらいの期間、どのような間隔や順序で生起するかを時間軸に沿って分析するものです。(図参照)
本研究では、社会学的アプローチであるライフコースと消費との関係性を見出し、マーケティング分野に応用することを目指しています。これは戦後家族モデルが崩壊したと言われる今、多様化した生活者を「多様なままに捉える」という試みです。
なお、格差社会やワークライフバランス、アラウンドフォーティなどの社会変化により、ライフコースの多様化がみられる女性にフォーカスして研究しています。新たな消費行動をライフコースにより定義することにより、マーケティングの新たなる視点を探っていきます。
共同研究者
いままでの研究の変遷
パイロット調査(定性・定量)を経て、06年1月よりパネル調査を実施。首都圏40km圏在住の20~59歳女性個人を対象にした訪問留置調査。有効回収数は第一回調査時点で1,541サンプル。09年11月調査(予定)まで、同一サンプルに5回継続で実施する。
「女性のライフコース」をテーマにした異業種共同研究会を学習院大学、R&D社と共催で3期に渡って開催。各期15社程度の企業が参加。
過去の実績
- ◆「新人類男性シングルレポート」の作成と日経MJでの掲載
- 2007年4月に大広オリジナルで男性シングルに関する調査を行い、「結婚」「子育て」というライフコースを選択した層と、シングルライフを選択した層を比較した結果を発表しました。調査結果が日経MJに掲載されています。
- ◆JMRA(日本マーケティング・リサーチ協会)カンファレンスでのベストプレゼンテーション賞受賞
- 2007年11月に開催のJMRAアニュアル・カンファレンスにおいて、「女性のライフコース変化と消費動向研究プロジェクト」というタイトルで、学習院大学の乳井講師・R&R社の加藤氏がライフコースの考え方及び調査結果を発表し、その結果ベストプレゼンテーション賞(大賞)を受賞。
- ◆「ライフコース・マーケティング」の出版
- 2008年6月に日本経済新聞出版社より、「ライフコース・マーケティング」を発刊。
ライフコースと消費の関係性について触れている第6章・第7章の2章について、大広のメンバーが執筆しています。
出版を期に、金融や化粧品などのクライアントから、「ライフコース視点を取り入れた調査を行いたい」という要望をいただいています。 - 【ライフコース・マーケティング 目次】