PROJECT

バーガーキング「ブランドアクティベーション」 バーガーキング「ブランドアクティベーション」

バーガーキング
「ブランドアクティベーション」

バーガーキング
「ブランドアクティベーション」

すべてはブランドのために。組織、枠組み、予想、アイデア、あらゆるものを“超えていく”、バーガーキングチームの挑戦。

2019年ハロウィン、渋谷センター街のバーガーキングが突如閉店を宣言。その後、一日で『SHIBUYA GHOST STORE』をオープン。下北沢の新店舗には、Twitterのやりとりをそのまま掲出し、「粋な工事現場」として話題に。クリスマスには、聖夜を一人で過ごす人のために、『ぼっちバーレるセット』を限定発売。さらには秋葉原のマクドナルドへのメッセージ広告など、世間の注目を集め続けているバーガーキング。この一連のコミュニケーションに携わるチームの、ブランドへの想いに迫ります。

──SHIBUYA GHOST STORE実施の経緯をお聞かせください。

佐久間:まず、クライアントとのビジネスの始まりから。大広がバーガーキングさんとパートナー関係をスタートさせたのが2019年の8月下旬でした。その後、9月に社内チームが集結。ですので、10月23日のゴーストストアオープンまで約1ヵ月を切っていました。

河西:その時点においては、バーガーキングの渋谷店は、センター街の真ん中にありながら、その存在をあまり知られていなかったんです。そこへハロウィンという話題化するための絶好のチャンスがやってくる。ハロウィンをどういかして世の中にバーガーキングの存在感を知らしめるか、というのがクライアントから頂いた課題でした。

佐久間:課題が店舗にある以上は、店舗が起点であり、終着点にならなくてはいけない。だから、バーガーキング=渋谷に集まるゾンビが、死んでも食べたいくらいおいしいバーガーがあるショップにしようと。「死んでも食べたい」=ゾンビをテーマにしましょうということでクライアントとは合意しました。

早川:そこから、とにかく世の中への影響力を最大化させることに重きを置き、PR発想でコミュニケーションを設計していきました。2018渋谷ハロウィンの逮捕者騒動や2019年夏の台風被害もあり、今年のハロウィンは自粛ムード。この世の中の動きを捉えれば、PRの効果も最大化が狙えると思いました。そこで、バーガーキングも自粛っぽく緊急閉店するというニュースをつくりました。“謎の緊急閉店”を一旦ニュースにして、実は、逆で一日でゴーストストアをオープンさせる、というストーリーをつくりました。

佐久間:渋谷店がハロウィン自粛を受けて緊急閉店したようなリリースから情報が拡散して、どこよりも早くハロウィン関連で注目を集めておき、24時間後にゴーストストアオープンのリリースを配信。ニュースを2段階に分けることで話題の波がより広がりました。

──オープンまで1ヵ月弱という短い期間でそこまで設計するのは大変だったのでは?

秋山:時間がないという意味では苦しかったけど。楽しんでやれたと思います。

平山:お店の前にあふれんばかりの人だかりができて、その人たちが次々と写真を撮っていくのは爽快でした。

倉持:テレビもたくさん取材に来ましたし、海外の観光客も楽しそうに撮っていたのが印象的でした。

佐久間:得意先もいきなりここまで話題になるのは予想外で、オープン期間中は毎日、SNSの数字やコメントを見て、一緒に喜びを噛みしめていました。

──ユニークなアイデアをどのように生み出して、カタチにしていくのですか。

佐久間:アイデアの核をつくるまでにおいては、案件によって異なりますが、基本的にはまずクライアントからテーマをいただきます。そこからこちらで練って提案もしますが、クライアントからもアイデアをどんどんいただくので、一緒につくり上げている感覚がとても強いです。

平山:オリエンも、形式的な、いわゆるオリエンというものは、あまりないですね。ブリーフから一緒に考えてつくっていくことが多いです。

佐久間:バーガーキングさんとは毎週定例会議を設けていて基本的に営業もスタッフも全員参加です。さらに翌日夕方、大広内のオールスタッフで定例会議をやります。

桑原:私はこのチームに入ってから、まだ数ヵ月も経っていませんが、そこでの会議は自由な雰囲気を感じました。

平山:社内と社外もすごく和気藹々ですね、他の仕事に比べて。

桑原:アイデア出しも、営業とか新人ということは関係なく、たとえボツになってもいいから先輩たちのアイデアにつながる材料になればと思って出しています。クライアントさん含め、チーム全体がそれを受け入れてくれるチームなので楽しくやらせてもらっています。

平山:僕はみんながアイデアを飛ばそうとしてくれるから、逆にバランスを取ることを意識しています。整理というか。

佐久間:クライアントもどんどんアイデアを出されるので、スタッフも営業も、それぞれの役職を跳び越えて必死にアイデアを出し合う。だからこそ、ユニークなアイデアにつながっていくのではないかと思っています。

猪飼:クライアントさんからは、我々のパフォーマンスを引き出すために、アクセルとブレーキ、使い分けをされているなと感じます。あ、アクセル全開だ!とわかったら、良い意味でのプレッシャーを感じます。常に、これまでのアイデアを超えていかなくちゃと。また、クリエイティブディレクター(以下CD)が大広を卒業後も変わらずCDとして参加していて、彼はアートディレクター出身のCDなので、クリエイティブでアイデアを煮詰める時はパートナーとして、コミュニケーション全体においては決断する人として、一緒に進めています。組織、会社、考えたら本当にいろんなボーダーを超えていますね。

──その中でも秋葉原ポスターはさまざまな意味で超越したコミュニケーションでした。こちらの経緯についてお聞かせください。

佐久間:秋葉原昭和通り店は2軒隣に業界トップのお店があるというおもしろい立地でした。そしてそのトップが閉店することがわかりまして。これまでの労をねぎらいつつ、むこう側のお客さまにアピールできないか、という話を先にクライアントと営業でしていました。それで秋葉原に「今までありがとうメッセージ」を出そうと盛り上がり、定例会の場でクリエイティブに相談しました。

猪飼:純粋にいい話で終わらせることもできましたが、海外では業界のトップに対抗する煽り合戦は盛んなので、立地的にはそれを生かす機会になると考えました。

佐久間:ひとつだけいいですか、あくまであの広告のメッセージをどう受け取るかはお客様次第、というのがブランドも含めたチームの見解です。ただ、とにかく言えるのは、どんなに面白い企画でもリスクをとらずに避けることが多い中で、バーガーキングさんは非常に勇気ある決断をしてくださる。だから思い切り提案をぶつけられる。さらに最後に決めてくださる、というのがすごいことだと思います。

早川:チャレンジャーブランドだからこそ思い切って提案できる。

猪飼:クライアントさんが以前おっしゃっていた言葉で印象的なものがあって。18歳にあこがれる16歳の若者がターゲット、というもの。それからは常にその16歳を喜ばすために、さまざまな制約を超え、予想を超えた結果を生むための遊び心を大事にしています。それがバーガーキングのブランドらしさにつながるからです。

河西:ありがたいことに、予想を超える反響をいただいていますが、とはいえ話題化が目的ではありません。この件では、一部ネガティブなご意見もいただきました。それを真摯に受け止め、愛とリスペクトを忘れず、ブランドの品位を見失うようなことがあってはいけないと思っています。

倉持:すべてはブランドの存在価値を上げていくために、という頂をチームでめざしています。

秋山:クライアントと代理店、代理店の中での肩書きなど、かつては主流だったかもしれない分業スタイルでは絶対に太刀打ちできない。だから自然とクライアントも代理店も協力会社も、ワンチームにならざるを得ないと思います。

──すでに今後の展開を考えていらっしゃるのでしょうか。

佐久間:はい、常にブランドをより理解し、一歩先へいかなければと必死です……!

平山:個人的にはバーガーキングの認知から一歩踏み込んで、ブランドフィロソフィーである「YOUR WAY」を中心に置いたコミュニケーションに挑戦したいです。

倉持:つい半年前までは、一般的にはバーガーキングの認知は今よりずっと低い状態だったので。もっとブランドの存在感を世の中で強くしていきたいですね。

河西:クライアントからは、バーガーキングは高尚なブランドではなく、あくまでハンバーガーだということを忘れないでほしいという言葉をいただいています。身近で気軽に選ぶものだと。店舗も少しずつ増えているので、より身近で親しみやすい存在になれたらと思います。

──ありがとうございます。最後に就活生のみなさんへメッセージをお願いします。

秋山:バーガーキングさんのターゲットのメインは若い人たちなので、みなさんの方がむしろ感覚が近いと思います。デジタル系の担当の僕なんかよりずっとSNSとかデジタルに馴染みの深い世代が入ってくると思うので、そういう人たちならではのアイデアを期待しています。

早川:広告業界に入りたいと思う人にとっては、このブランドは想像している仕事に近い気がします。制約の多いクライアントもあるんですけど、バーガーキングさんはそういうのがあまりない。ぜひ、今持っている純粋な憧れを大切にして、会社に入った後もその気持ちを仕事にいかしてほしいです。

平山:バーガーキングのグローバルのマーケティングトップの名言で、「恐れろ。大いに恐れろ。だが、実行しろ。」というのがあります。戦略が形になって世の中に出て、それを通してブランドが成長していく。そこに伴走できるのは広告会社の醍醐味です。

佐久間:そんな根っからのアクティベーションスピリットを持つ人を待っています!

河西:就活中、苦しいこともあると思いますが、バーガーキングのブランドのようにリスクを恐れながらも実行する大胆さ、何より自分らしさを大事に頑張ってほしいです。