2019.05.17

Special interview 10

一途に向き合う仕事は自分のブランドになる
成田倫史さんにきく。Vol.2

クリエイティブディレクター 成田倫史

獲得した“広告賞”は目的ではなく手段
テーマはいかにAEDの認知を広げるか

この業務を始めた理由を教えてください。

当時、東日本大震災があって、社会貢献みたいなムードが一気に高まっていました。全世界的にそういった空気が流れていたんです。そんなとき、ある大学の先生から相談を受けて。広告のプロとして自分に何ができるか考えたとき、今までの広告人生で学んだことを全部ここで出し切ろうという思いが強まったところが、この業務に対する取り組みの根幹部分にありますね。

クリエイターとしてこの仕事に関わって、どう思われていますか?

広告代理店っていろんな仕事があるんですが、この課題は特に、真実と向き合うというか。交通事故防止などの命と向き合う仕事もありましたが、お子さんを亡くされたご本人と向き合って、なんとか心を癒してあげたりっていうのは初めての経験で。通常の仕事よりも力が入った大きな理由は、そういう部分もあったからだと思います。

この業務で思い出深かったり、印象に残っていることはありますか?

最初はドキュメンタリータッチの表現を中心に立ち上げていました。実際に何が起こっていて、どんな勇気ある人が助けたのかを伝える動画にしたり。ただ、そういう事実を見せられるだけでは、一般の人の心を動かすのも限界があるだろうということで、3年前に新しい取り組みをはじめました。まったくAEDに関係ない人を振り向かせるため、踏み込んだ表現にトライしてみたんです。それが、ウェブで公開した、サスペンスドラマ風ゲーム形式コンテンツです。社会貢献というとどうしても真面目で、真実と向き合うというところにずっと留まりがちなんですが。私たちの団体は、もっと次のやることはないかを模索して、ウェブのほうに行きました。それが、今まで届かなかったターゲットを振り向かせる力になったのではないかと、高い評価をいただきました。

この業務で受賞した主な賞名をお聞かせください。

広告賞を獲ることが目的ではなく、どうすればAEDの活用を伝えられるかを考えたところに、やはり言葉の力があって。コピー系の広告賞にいくつか名前がのってきたのも、今までそうしてきた結果じゃないかなと思います。それ以外にも、ACCのインタラクティブ部門や、消費者のための広告コンクールなどで賞をいただけました。あとは、名古屋でトリプルAと言われているAICHI AD AWARDSで、デジタル部門の賞をいただいたりとか。地道にこの取り組みを続けてきた結果、というように思います。

財団の皆さんの反応はいかがですか?

もともと、なぜ広告賞に応募するんだという話はありました。でも私自身の考えとしては、単に広告賞を獲るのではなく、全国の組織が力を合わせて普及させようとしているこの思いを少しでも遠くに届けるためのひとつの手段として、広告賞を獲りたかった。賞を獲るといろいろなところで取り上げられるので、それを見た、まったく関心のなかった人たちにも広げてゆくことができます。そこにすごく意味があるんだと、先生方に話をして。ならば積極的に出してみようかとなったんです。それが功を奏し、広告賞に名前がのったことで、いろんな方面から反響が出るという結果に至ったのかなと思います。

※所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
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